「働きながら転職活動をしているけど、なかなか前に進まない」「仕事を辞めてから転職活動をした方がいいのでは?」そんなお悩みを抱えていませんか?
現職の業務を抱えながら、面接や面談の時間調整、複数の企業や転職エージェントとのコミュニケーション、書類の作成や企業分析など、転職活動に力を入れていくのは想像以上に大変だと思います。また、現職に対する責任感からくる転職への後ろめたさや、退職することへの不安や周囲への配慮から、なかなか一歩を踏み出せない方もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、そんな悩みを抱えるあなたが、現状を打破し、キャリアを前進させられるように、考えておきたいポイントや、働きながら転職活動を進めるための具体的な方法をお伝えします。
目次
1. 多くの人が仕事を続けながら転職活動をしている
人材紹介サービスを展開するトーコンが、およそ1200人の転職希望者を対象に行ったアンケートによると、およそ9割の転職希望者が仕事をしながら転職活動に臨んでいます。中には現職との退職調整を行いながら転職活動を行っている方も多いですが、それを除いてもおよそ6割の方が、現職との兼ね合いを取りながら転職活動を行っている状況。働きながら転職活動を行うことは、ごく一般的な流れになっています。
一方で、実際に働きながら転職活動をしてみると、時間の確保や調整が難しかったり、考えたり行動したりすべきことが多かったりと、なかなか上手く行くイメージを掴めない方も多いと思います。
しかし、グラフが示すように、将来的な情報収集や、転職すべきかどうかの悩み相談の目的で転職エージェントを利用する方も多いです。転職の動き方を具体的にイメージできていなかったり、辞めるべきか続けるべきかを悩んでいる段階でも、まずは一度、頼れる専門家にアドバイスを求めてみるのも手段の一つです。
2. 仕事を辞めて転職活動を行うリスク
「働きながらの転職は無理だから、いっそ仕事を辞めて転職活動に専念しよう」と考えている方もいるかもしれません。しかし、仕事を辞めてから転職活動を行うことには、以下のようなリスクがあります。判断を焦る前に、これらのリスクを理解しましょう。
収入の途絶
仕事を辞めると、当然ながら定期的な収入がなくなります。これは、以下のような影響をもたらす可能性があります:
- 生活の不安定さが増大し、日々の生活に大きなストレスを感じる
- 貯蓄を切り崩すことになり、将来の計画に影響が出る
- 転職活動が長引いた場合、経済的な焦りから判断力が鈍る可能性がある
- 経済的な制約から、本来望まない条件での就職を検討せざるを得なくなる
安定した収入を失うことは、経済的負担だけではなく、生活基盤が失われていくプレッシャーによる心理的負担にも繋がります。経済的な余裕がある場合は、仕事を辞めて転職活動に専念した方が、より集中して活動できる可能性ももちろんあります。ただし、経済的に余裕がない場合は、働きながら転職活動を進めた方が、安心して次のキャリアを探せるかもしれません。自分の状況を冷静に分析し、最適な方法を選択することが重要です。
キャリアの空白期間
仕事を辞めることで履歴書に空白期間が生じます。これによって以下のような問題を引き起こす可能性があります:
- 空白期間に対して、選考において説明が求められたり、計画性のなさや就業への意欲が低い等マイナスに見られたりすることがある
- 業界や職種によっては、最新のトレンドから遅れをとる可能性がある
- 実務経験を積む機会を失い、スキルの維持・向上が難しくなる
- 特に技術革新の速い業界では、短期間でも市場価値が低下する可能性がある
職務経歴に空白期間があると、キャリアの計画性やスキル維持の観点から、転職活動時に企業から懸念を持たれ、上手く説明ができないとマイナス評価に繋がってしまう可能性があります。転職活動が長期化し空白期間が長くなると、よりその傾向が高まり、転職が難しくなる恐れがあります。仕事を辞めてから転職活動を行う場合は、その理由を明確に説明できるようにしておく共に、その間も自己研鑽に取り組むなどの備えが必要です。
心理的プレッシャー
仕事を辞めて転職活動に専念すると、以下のような心理的プレッシャーを感じる可能性があります:
- 転職活動が長引くにつれて焦りや不安が増大する
- 自己肯定感が低下し、面接などでも実力を発揮しづらくなる
- 時間的プレッシャーから、十分な情報収集や比較検討ができなくなる
心理的プレッシャーの影響は人それぞれ。人によっては一度仕事から離れることで心身をリフレッシュし、より前向きな姿勢で転職活動に臨めるかもしれません。一方で、仕事を続けることで得られる安定感によって、転職活動を冷静に進められる人もいるはず。自分のストレス耐性や現在の心理状態、周囲のサポート体制などを総合的に判断し、最も自分に合った方法を選択することが重要です。
このように仕事を辞めてから転職活動を行うことには一定のリスクがあります。「働きながら転職は無理」と判断する前に、これらのリスクを考慮しつつ、自身の経済状況や性格・特性、転職の目的などを冷静に見極めながら、慎重に検討していく必要があります。
3. 転職をすべきかどうか
一方で、仕事を辞めることにリスクを感じたり、現職に多忙やプレッシャーを感じていたりすると、そもそも転職自体を躊躇してしまう方もいるかもしれません。
仕事を辞めることも慎重に考えなければいけませんが、今のまま仕事を続けていいかどうかも冷静な判断が必要です。
判断を先延ばしにしてしまうと、最適なタイミングを逃してしまったり、望まない環境に長期的に居続けることへのストレスの蓄積により心身に不調をきたす恐れもあります。
以下においては、転職をすべきかどうかの判断基準をお伝えしますので、ご自身の状況と照らし合わせながら、参考にしてみてください。
短期的な負荷か、慢性的な負荷か?
「仕事が忙しくて転職どころではない」「自分が抜けたら、会社に迷惑がかかる」
特に責任感の強い人ほど、このような葛藤を抱え辛さを感じるかもしれません。
しかし、忙しさやプレッシャー、また代替要員がいないという状況は、ポジティブに捉えれば、会社がそれだけあなたに期待しているということ。
今は苦しくても、これを乗り越えた先に大きな達成感や、成長が待っている可能性があります。
目の前の困難に捉われるとポジティブな思考をするのも難しくなるかもしれませんが、その壁を乗り越えた先にどんな未来があるのか、想いを馳せて考えてみてください。
その困難が自分にとっての成長機会に想えるのであれば、今が踏ん張り時かもしれません。
一方で、その困難がいつまで続くか、見通しが立たない場合もあるかと思います。
「慢性的な人手不足により忙しさが常態化している」「会社に改善を申し入れたが聞き入れられなかった」「自分の力ではどうすることもできない課題がある」など、状況の改善が見えない場合は転職を検討する必要もあるかもしれません。
キャリア選択と変化に対する恐怖
いざ転職となると、求人への応募、面接への参加、転職の意志決定、現職への退職意向の申出、新環境への適応など、勇気を持って踏み出さなければならない場面がたくさんあります。こういった過程を想像した時に、恐怖心や煩わしさから、転職を諦めてしまう方もいるかもしれません。
確かに転職をしなければ精神的な負担がかからず、短期的に見ればストレスを回避できるかもしれません。
一方で、少しでも転職を考えた背景には「このままじゃいけない」「何かを変えなければ」という気持ちがあったはず。
現状の安心を選ぶのも尊重すべきキャリアの選択の一つですが、転職活動のストレスを避けて現状に留まることは、自分の本当の気持ちに蓋をしてしまうことにも繋がります。
もし現状に思うところがあるのであれば、まずは転職エージェントに相談してみるところからでもいいので、ライトに転職活動を始めてみるのも手段の一つです。
世の中の雇用の流れや、他社の仕事や価値観に触れながら今の職場と比較することで、現状に留まることが最適な選択なのか見つめ直すきっかけいなるかもしれません。
環境を変えるのは不安と恐怖がつきもの。もし現状を変えたいという想いがあるのであれば、今、この一瞬だけでも勇気を出してみることが大切です。
今は動くべきタイミングか?
「このプロジェクトが終わったら…」「もっと経済状況が整ったら…」と、転職のタイミングを見計らっている方もいるかもしれません。確かに、状況を見極めることは大切です。しかし、「完璧なタイミング」を待ち続けると、貴重な機会を逃してしまう可能性があります。
中途採用では特に各企業の事業フェーズや採用状況が逐一変化するので、求人との出会いは一期一会。自分にとってチャンスが巡ってきたときにそのチャンスを逃さないよう、現職に軸足を置きつつも転職の可能性を考え、スキルの棚卸しや履歴書、職務経歴書の準備などは進めておいてもいいかもしれません。
転職を考え始めたということは、自分のキャリアにおける課題を自覚したということ。結果的に転職をするにせよしないにせよ、この課題と向き合うことは、成長やライフスタイルの改善を行ういい機会だと捉えることができます。日々の忙しさやプレッシャーに押され、考えることを避けたくなることもあるかと思いますが、人生を好転させるポジティブな転機と捉え、ぜひ、自分の気持ちととことん向き合ってみてください。具体的な求人探しや応募活動などを行わなくても、転職エージェントに相談してみるなど、出来ることはたくさんあります。
4. 働きながら転職活動を成功させるために
取るべきアクションを明確にしつつ、隙間時間も活用しながら少しずつ行動に移せば、働きながらの転職活動も無理ではありません。ここでは、転職活動の各ステップに沿って、働きながら効果的に転職活動を進めるための具体的なコツをご紹介します。
1. 履歴書・職務経歴書の準備
履歴書や職務経歴書を一から準備すると考えると気が重く感じるかもしれませんが、各種転職サイトにおいては、指定されたフォーマットに沿って情報を入力するだけで、プロフィール情報を履歴書、職務経歴書に変換してくれる機能も備わっています。
また、いきなり完成版を作る必要はありません。隙間時間を活用しながら少しずつ情報を入力し、自己PRの材料を蓄えていくことで、実際に応募活動を進める際に、スムーズに書類の準備を行うことが出来ます。
2. 求人探し
転職サイトも日々進化しており、自身の興味関心に合わせてお薦め求人が自動的に抽出されるような機能も備わっております。空いた時間で転職サイトを眺めて、気になった求人をチェックしていくことで、自分に合った求人を探しやすくしていくことが可能です。
また、先述のようにプロフィール情報を詳細に入力していくことで、自分の経歴にマッチしたスカウトを受け取ることもできます。
転職サイトを通じた仕事探しが苦手な方は、転職エージェントに登録し、キャリアアドバイザーから求人の提案を受けることで、自分で探す手間を省くことが出来ます。
これらのサービスは簡単に登録することが出来るので、まず使ってみることがお薦めです。
3. 応募活動
応募活動を開始して複数の会社やエージェントと連絡を取り合うようになると、やり取りや調整に手間がかかります。同じようなやり取りが続くようであれば、一度送ったメール内容をテンプレート化しておくと、やり取りがスムーズになるだけではなく、心理的負担も軽減できます。
また、在職中の転職希望者が多いということもあり、面接日程の調整においては、企業側も個々の事情を踏まえて柔軟に調整してくれることが多いです。
遠方からのエントリーや当日の移動時間を考慮してオンライン面接を組んでくれたり、現職の退勤後や、有給休暇を利用し面接活動を進める求職者に合わせて柔軟にスケジュールを調整したりといった配慮をしてくれる企業も多くあります。調整にあたっては企業側の事情への考慮も示しつつ、こちら側の状況も伝えながら明確に希望を伝えていきましょう。
5. まとめ:転職活動を始めるための最初の一歩
働きながらの転職活動はハードルが高く感じるかもしれませんが、まずは転職サイトに登録してみる、転職エージェントに相談してみるなど、今すぐにできることはたくさんあります。まずは小さなステップから。行動してみることで見えてくる可能性や課題があるはずです。忙しい中かもしれませんが、転職に興味を持ったこのタイミングを自分の理想のキャリアやライフスタイルを実現するチャンスと捉え、ぜひ前向きに自分自身と向き合ってみてください。