企業への応募活動を行う際には、様々な選択肢があります。
求人広告を見て応募したり、エージェントを通じて推薦をしてもらったり、企業のホームページに直接問い合わせてみたり…。
果たして、どれを選択するのが一番内定に繋がりやすいのか?
応募経路によって採用確率に違いはあるのか?
そのように考え、どのように応募活動をするべきか悩む方もいらっしゃると思います。
実際、企業は採用予算や募集効果、採用活動への対応工数などを天秤にかけ、最適な手段を模索しながら採用活動を行っており、応募方法ごとに期待する効果も異なるため、応募方法の選択が、選考結果に全く影響しないとは言い切れません。
あまり裏の事情に縛られすぎる必要はありませんが、採用活動の裏側で企業がどのような方法を選択しているのか、それが選考結果にどのような影響を与え得るか、仕組みを把握することは企業の採用意図を理解することにも繋がり、より戦略的に転職活動を動かすことにも繋がります。
自分に合った転職活動の方法を選択できるよう、今回は応募方法による選考への影響や、それぞれの方法のメリット・デメリットについて考えていきたいと思います。
採用サービスのしくみ
企業が選択する採用サービスは大きく分けて「求人広告」「人材紹介」の2種類に分かれます。
求職者から見た応募経路で言えば「企業ホームページから直接応募」といった方法も挙げられます。
まずはそれぞれ、企業がどのようなコストをかけて、どのような目的で利用しているかを見ていきましょう。
求人広告
リクナビNEXTやマイナビ転職といった、転職サイトに求人を掲載して応募を募るやり方です。
多くの場合は掲載費を支払い広告を掲載するサービスモデルとなっており、企業は広告の大きさ、掲載順位、掲載期間に応じた広告費を支払っています。
掲載費以外のコストはかからないため、採用時に別途費用が発生することはありません。
そのため、一回の掲載で多くの人材を採用できるほど、一人当たりの採用費用は安くなり費用対効果は高くなりますが、該当人物が集まらず、せっかく費用をかけたのに採用に繋がらないというリスクもあります。
利用用途
複数名の採用を検討しており、応募数を多く集めたい場合に利用される傾向があります。
また、「この日までに採用したい」など、企業側で採用納期が決まっている場合など、短期間で集中的に応募者を募るために利用されるケースも多いです。
人材紹介
転職エージェントを介して、企業の採用要件に合致する人物の推薦を募るやり方です。
こちらは成功報酬型のサービスがほとんどで、採用決定に対して年収の30%前後のコンサルティングフィーがエージェントに支払われます。
一人当たりの採用単価は求人広告と比べると高くなりがち。
一方、採用が決定するまで費用は掛からないため、リスクなく採用活動を行うことができます。
利用用途
応募を集めるのが難しい専門人材やハイクラス人材の採用において、リスクなく採用を行うために利用されることが多いです。
応募者対応をエージェントに任せることができるため、人事のマンパワーが足りない場合や、採用活動を効率化するために活用されることもあります。
また、一度出したら修正・変更が難しい求人広告と比べて、エージェントへの注文一つで採用要件を柔軟に調整できるため、組織の状況や事業目的に沿って、採用ポジションを柔軟に入れ替えられるという利用メリットがあります。
成長スピードの早いベンチャー企業など、この利点を活かしエージェントを積極活用する傾向にあります。
企業ホームページ
求人広告や人材紹介では、人材系企業が求人企業の採用をサポートしますが、近年は求人企業が企業ホームページの採用情報を充実させ、直接募集を募るやり方も増えています。
自社のホームページからの流入となり外部サービスを利用しているわけではないので、応募や採用に対する費用は発生しませんが、近年は採用ホームページに力を入れ、直接応募を集めるためにWeb広告を運用しているケースも増えているため、裏側ではホームページ制作費や広告運用費が発生していることもあります。
利用用途
求人広告や人材紹介と比べ、自社で自由に運用・管理できる利点や、外部サービスを利用しないことで採用コストの最適化を行う目的で、採用ホームページを使った採用は一般的になってきています。
とはいえ、企業によってホームページの注力度合いは様々。
前述のように、自社で採用ホームページを設け積極的な応募者集めをしている企業もあれば、ホームページの更新が滞っておりホームページの採用情報と実際の採用状況に相違がある企業もあります。
求職者から見ると、企業ホームページにおける採用情報の充実度合いで、その企業が採用に力を入れているかどうか、スタンスを見ることができるかもしれません。
求職者から見たメリット・デメリット
それぞれのサービスの違いを見ると、採用にかかるコストにも違いがあります。
一概には言えませんが、傾向としては「企業ホームページ < 求人広告 < 人材紹介」の順で、採用費が高くなります。
ということは…
「採用費が高い人材紹介では、選考のハードルが高まり内定獲得が難しくなるのでは…?」
「エージェントを介さずに自分で応募活動をした方が有利なのでは…?」
「掲載費を無駄にしないためにも、求人広告での応募の方が積極的に採用されるのではないか…?」
など、様々なメリット・デメリットを想像されるかもしれません。
実際にはどうなのか。
求職者から見たときの応募方法によるメリット・デメリットを考えていきます。
エージェント経由はハードルが高くなる?
転職エージェントを介すると、企業の採用費が高くなる。
ということは、選考におけるハードルが高まり、内定獲得が難しくなるのか?
そのように見えてしまう側面もありますが、実際には「人材紹介だからハードルが上がる」というより「ハードルが高い採用案件だから人材紹介を利用している」場合が多いです。
採用に力を入れている企業は、優秀な人材の獲得に費用を惜しみません。
特に拡大期にある企業の場合、人材獲得費用を負担ではなく投資と捉え、人材紹介サービスに相応の採用費を当てています。
尚、ここでいう「優秀な人材」とは、スキル・経験が豊富な人材とは限りません。
特に成長著しい企業では、一枚岩の組織を築き、推進力のある強い会社を創るために、仕事のスタンスや価値観、企業への共感度、強い志望動機など、自社にマッチする可能性が高い方を「優秀人材」と定義する傾向があります。
経験・スキルでは測れない「優秀人材」との出会いを行うために、広く募集をかける求人広告ではなく、直接求職者と会話をしてその価値観に触れている転職エージェントを積極的に利用する企業は多く存在します。
このような企業から内定を獲得するには、企業が考える「優秀人材」の定義を理解し、そこにマッチするかを見極め、適切に自分をアピールしていく必要があります。
これを実現するには、自力で転職活動を行うよりも、企業側とも深い関係を持つ転職エージェントの力を利用する方がはるかに効率的です。
すべての人材紹介採用がそうだとは言い切れませんが、人材紹介により採用のハードルが高まるというより、もとからハードルが高く設定されており転職エージェントを利用しないとハードル突破が難しいというのが現実です。
転職エージェントの利点と自主応募の壁
転職エージェントの利用には、下記3つのメリットがあります。
- 自己分析のサポートが受けられる。第三者の視点も交えながら、自身の強み、弱み、大事にしている価値観などを言語化できる。
- エージェントを通じて、Webだけでは見えてこない企業情報を取得できるため、その会社が自分に合うかどうかを事前に判断できる。
- 選考対策や、面接官の事前情報、面接後のフィードバックなどを通じて、入念な対策を打ちながら選考に臨める。
まずは自分自身を知り、次に相手のことを知る、そして、双方にズレがないように目線合わせをする。
このようなプロセスに転職エージェントが介在してサポートをするため、マッチングの可能性は高くなります。
一方、自主応募だと、自己分析から企業理解、面接対策に至るまで全部自分の力で行う必要があり、自分自身でチューニングしながらマッチングを進めていかなければなりません。
企業側が単にスキルや経験など、書類上でわかることだけを指標とした採用を行っているのであれば、自主応募でもマッチングの可能性は高いかもしれません。
しかし、長期的に定着して活躍する人材を採用するためには、応募者の人格・価値観まで深く理解する必要があります。
そのような深いレベルでのマッチングを実現するからこそ、多くの企業が転職エージェントに期待をしています。
そして、介在者なしでのマッチングは、自主応募で内定を獲得する際の大きな壁となります。
自主応募のススメ
前述のように自主応募の場合、すべて自分自身で調整していくという難易度の高さがあります。
一方で、だからといって転職活動をエージェントに頼り切る転職方法もあまりお勧めはしません。
エージェントの持つ求人の数や、取引企業との関係性の深さには濃淡があり、そもそも希望する求人をやり取りしているエージェントが持っているとも限りませんし、希望する求人企業との関係性が希薄な場合、あまり介在の意味をなさない可能性もあります。
エージェントの力量によって左右される部分も大きいため、エージェントに頼りすぎる転職活動も危険です。
もしご希望の求人がエージェント経由でなかなか見つからない場合は、自分で求人を探し自主的に応募活動をするという選択をお薦めします。
完全に自力でハードルを越えていかなければいけないので、エージェントを介するよりも難しいかもしれませんが、そもそも応募ができなければ転職活動は始まりません。
応募を行い選考の場数を踏むことで、得られる経験もあるはずです。
「エージェント経由の方が」「自主応募の方が」…と方法にとらわれず、色々なトライを重ねて自分らしい転職の進め方を見つけることをお勧めします。
他者の力を借りつつ、自分の力を信じて…
企業がどのような募集方法で採用を行っているか。
採用サービスの仕組みやその裏側を理解すると、その採用の狙いや熱量などが垣間見えることもあり、企業側の採用意図を読み取り転職活動を戦略的に進めていく上では役に立つと思います。
とはいえ、方法論にとらわれる必要はありません。
転職エージェントを利用することで転職活動が上手く行く方もいれば、自主応募で進めた方が力を発揮できる方もいると思います。
様々な方法を理解し、それぞれのメリット、デメリットを見た上で、自分に合った最適な転職方法を選んでいただければと思います。
株式会社トーコンでは、キャリアに関するご相談を承っております。
企業との深い関係性の元、採用のハードルを越えるサポートももちろんご提供しますが、あなた自身のハードル突破力が上がるような転職活動のサポートもご提供いたします。
エージェントの力を最大限活用したい方はもちろん、自主応募での転職活動を好転させたい方も、是非お気軽にご相談ください。