「転職を検討しているものの失敗してしまうのが怖い」「リスクを避けて安全に転職を進めたい」そんなことを考えていませんか?転職は人生の大きな転機となる重要な決断です。しかし、転職した人の中には、入社した会社の仕事内容や職場環境が期待とは異なり、「失敗してしまった」と後悔する人もいます。本記事では、転職でよくある失敗事例とその予防策を詳しく解説。後悔のない転職実現するための参考にしていただければと思います。
目次
1. よくある「転職を失敗した」と感じてしまう6つの例
転職後に「失敗した」と感じる原因は様々です。ここではよく起こりがちな転職を後悔してしまうケースをご紹介。これらの事例を知ることで、転職のリスクや注意点を正しく把握しましょう。
1-1. 想定していた業務内容と違う
入社前に想定していた仕事内容と、実際に任される仕事内容に相違があり、転職を後悔してしまう場合があります。この問題が発生する主な理由として、以下のようなことが挙げられます。
面接時に具体的な業務内容を確認しなかった
「壮大な企業理念やビジョンに共感して入社を決意したものの、実際に入社後に任される業務は単純作業のような地味なものだった。」
「面接で感じた社風の良さ、関わる人の良さに惹かれて入社したが、業務内容が自分には合っていなかった」といったように、
企業の一側面だけしか見えておらず、具体的に自分がどのような業務を任されるのかを把握できていないと、入社した際にギャップを感じてしまうことがあります。転職を検討する際は、企業の魅力的な一面だけを切り取るのではなく、総合的に情報を収集した上で判断を行うことが大切です。
求人の内容を勘違いしていた
「モノづくりの仕事がしたくてメーカーに転職したが、製造ラインの管理がメインで新たに何かを創り出しているような実感が持てなかった」
「事務職と聞いていたので社内でのサポート業務中心の仕事と想像していたが、外部とのやり取りが頻繁にある仕事でイメージと違った」など、
業界や職種のイメージに引っ張られて仕事内容を勘違いしてしまうケースもあります。同じ業界、同じ職種であっても企業によって仕事の進め方や実際の業務内容は変わるので、イメージだけで判断しないように注意が必要です。
企業が採用の際にポジティブな面だけしか伝えていなかった
多くの企業はミスマッチのない採用を行うため、入社の前に、仕事のポジティブな面もネガティブな面もありのままに説明します。一方で、企業によっては仕事のネガティブ面をあまり伝えないこともあります。これは応募者を採用に繋げることを目的に意図的に伝えないといった理由も考えられますが、そもそも企業側が仕事の厳しい側面をあまりネガティブに捉えておらず、わざわざ伝えることではないと考えている場合もあります。いずれにせよ、求職者としては受け取った情報の裏側を想像し、積極的に情報を拾いに行くことが大切です。
仕事内容の認識の違いは、企業・求職者の伝え方・受け取り方のズレによって生じることがあります。それを解消するには両者の歩み寄りが必要です。情報公開が充分かどうかはさておき、企業側は求人票やホームページを通じて仕事についての情報を提供しているので、求職者からの質問がないと、企業側も「わかっているもの」と捉えてしまう可能性が高いです。まずは提供されている仕事内容を把握した上で、面接の機会などを通じて、自分が遂行する業務としてイメージできるまで情報を取得していくことが大切です。
1-2. 条件面の相違
給与や福利厚生、勤務条件が事前に認識していた内容と異なり、それが転職後の後悔につながるケースもあります。このようなことが発生する要因として、以下のようなことが考えられます。
面接時に条件について確認が不十分だった
たとえば「次の仕事では多少の苦労は伴っても、早期に経験を積んで成長を実現したい」という転職意欲を持っていた場合、給与や休日などの条件面は軽視して、確認を怠ってしまうことがあるかもしれません。結果、実際に働いてみると想像以上のハードワークに転職を後悔してしまう可能性があります。
長期的な就業を考える上で、待遇・条件は転職後のライフスタイルに大きく影響する大事な要素です。事前にしっかり確認すると同時に、転職後のライフスタイルをイメージし、自分のワークライフバランス観も具体的に言語化し、希望に合致する働き方ができるのか慎重に検討する必要があります。
福利厚生や人事制度の有無は確認したが、運用実態を把握していなかった
会社としては福利厚生や人事制度を設けており、求人票や就業規則に記載をしていたとしても、実態としてそれが現場で運用されていない場合があります。
たとえば、近年多くの企業でリモートワーク制度を導入していますが、利用条件が設けられていたり、配属部門やミッションによって一定の出社を義務付けていたりといったケースもけっして少なくありません。制度の有無だけで判断せず、実際の働き方についても情報収集を行い、自分の望む働き方が本当に実現できるかどうか判断することが大切です。
あまり待遇ばかりを気にしてしまうと面接において就業意欲に疑念を持たれる可能性もあるため、求職者としては選考中の条件確認はなかなか質問しづらいところ。しかし、条件面のマッチングは長期的な就業を考える上で大切なことです。内定後に出される労働契約書には充分に目を通し、必要に応じて人事担当者に質問をしたり、面談の場を設けてもらうなどしながら不安を解消していきましょう。
1-3. 社風や文化のミスマッチ
職場の価値観や働き方が自分のスタイルと合わず、転職後に違和感を覚え後悔を感じてしまうケースも存在します。主な原因として、以下が考えられます。
企業文化について事前のリサーチができていなかった
「ホームページや面接の雰囲気から明るい社風をイメージしていたが、実際にはコミュニケーションが少ない職場だった。」
「ベンチャーと聞いていたので裁量を持って色々なチャレンジができると思っていたが、実際にはマネジメントが厳しくて自由がなかった」といったように、
入社前と入社後でイメージしていた社風・文化との相違が発生することがあります。社風は外からだとなかなか実態が見えにくいですが、可能であれば現場社員との交流の場を設けてもらったり、難しい場合は企業の口コミ情報を検索するなどして、実態を拾いにいくことも大切です。
自分自身がどのような組織にフィットするのかを把握できていなかった
転職を行う上では、自分に合う職場・合わない職場を理解しておくことも大切です。会社が変われば組織が変わり、社風や文化も大きく変わります。新しい環境では、今まで当たり前だと思っていた業務の進め方やコミュニケーションの取り方が大きく変わり、違和感を覚えることがあります。自分の常識を社会の常識だと考えず、どんな環境なら順応が可能か(逆に、順応が難しいか)自己分析してみることも大切です。
企業文化や職場の風土は企業の採用ホームページや口コミサイトを通じて拾える部分もありますが、実際に現場を見てみないとイメージが湧かない部分も多いはず。面接などで企業を訪問する際は、会社の様子にも目を向けたり、可能であれば社員との交流の場を設定してもらうなど、現場のリアルを把握しましょう。また、その前に、自分の価値観やコミュニケーションスタイルにも目を向け、どんな職場環境であれば自分は輝けるか(逆に、力を発揮できないか)を把握することも大切です。
1-4. レベル感の不一致
入社後に任されたミッションが自分の能力に見合っていないと感じ、転職を後悔してしまうこともあります。仕事のレベル感が合わないと、仕事に対するモチベーションも低下しがちです。与えられたミッションが自分にとって難易度が高すぎる場合もそうですが、逆に簡単すぎる場合もモチベーション低下に繋がります。このような業務レベルのミスマッチが生じる原因としては、主な要因としては以下のことが考えられます。
自分のスキルや経験を過信していた
自分の能力に自信を持ちすぎて、実際の業務で自分のスキルレベルに合わない仕事に直面すると、出来ない自分にストレスを感じ、モチベーションを下げてしまうことがあります。特に中途入社ではこれまでの成功体験が新しい環境で通用せず、自信を無くしてしまうケースが多いです。このような問題を防ぐためには、自分の能力を正しく把握した上で応募活動を行うことも大切ですが、同時に、転職後も自分の能力を過信せず、出来ない自分をありのままに受け入れ、謙虚に学んでいく姿勢が重要です。
任されるミッションに物足りなさを感じた
たとえば、能力を高く評価され採用されたにもかかわらず、その能力に見合ったミッションを会社が設定し切れていないと、レベルに見合わない仕事を任されるようなことがあります。任される業務内容が自分のスキル・能力で充分に対応可能なものばかりで物足りなさを感じたり、一緒に働く人たちとの能力の差を感じたりすると、仕事に対するモチベーションが下がってしまいがちです。
こういったミスマッチを防ぐには、応募企業の成長性や人材レベルに関する情報を収集し、その環境の中で自分のスキル・能力を発揮できる余地があるかどうかを検討する必要があります。また一方で、もし入社後に与えられたミッションに物足りなさを感じる場合、その状況を「会社の期待を超えて活躍できるチャンス」と捉えることも出来ます。与えられたミッションをしっかりこなしつつ、もっと高いレベルで仕事をこなせることをアピールすることで、早期の昇給・昇格を実現しキャリアアップを実現可能性があります。
レベルの不一致を防ぐには、事前の自己分析による自身の能力の把握や、応募求人が自分のレベル感に合っているか検証することも必要ですが、業務レベルの不一致に直面した時には、その状況を前向きに捉えてることで、成長やキャリアップのチャンスに繋げることも可能です。
1-5. スキルやキャリアの成長機会がない
自身が掲げていたキャリアプランの方向性と企業が用意している成長機会やキャリアパスが合致しないことに入社後に築き、転職を後悔してしまうケースもあります。この問題が発生する主な要因は、転職先での成長機会についての確認が不足していたり、認識が違ったりといったことが考えられます。具体的には以下のような原因があります。
スキルやキャリアパスに関する情報の確認が不足していた
例えば、自分としては転職する会社の中で目指したいキャリアがあったのに、会社は違うキャリアパスを想定して採用を進めていた、ということがあり得ます。企業が提供する成長の機会やキャリアパスについて、事前に十分に情報を得ていなかったり、会社との目線を合わせられていなかった場合、転職後にギャップを感じることになります。このような事態を避けるためには、面接時に成長機会やキャリアパスについての情報を収集すると同時に、自分自身がどのようなキャリアを築いていきたいのかを会社に明確に伝えることで、事前のすり合わせを行うことが重要です。
入社後のフォロー体制が期待とは違った
特に中途採用の場合、企業によっては即戦力を求めるため、手厚い研修がなくOJTでの教育が中心となることがあります。このような環境では、業務を通じて必要なスキルを身につけることが求められるため、研修や指導によって体系的に仕事を学ぶ機会が少なく、自主的に情報やスキルを習得していく必要があります。こういった問題を防ぐためには、面接時に企業がどのようなキャリア支援体制や教育制度を提供しているのかをしっかりと確認し、その中で自分が成長していけるのかを検討することが大切です。
中途採用においては企業からのフォローはありつつも、ある程度の即戦力性が求められることもあり、自身で成長機会を掴みに行く姿勢も求められます。会社が自身の成長をどのようにサポートしてくれるのかを確認することも大切ですが、自身として、会社にどのような貢献をし、どのように成長していきたいのかを自己分析を通じて明確にしておくことも重要です。
1-6. 企業の経営状況や将来性の不安
会社の業績悪化していたり、経営方針が迷走していたり…。そういった企業実態を入社して初めて知り、転職を後悔してしまうケースもあります。この問題が発生する主な原因として、企業の現状やビジョンについての理解が深まっていなかったことが考えられます。
企業の現状やビジョンについて深掘りしなかった
転職活動では、職種や業界をもとに求人情報を探し、仕事内容や条件面に惹かれ応募を行う人も多いです。しかし、興味関心がそこで止まってしまい、企業の全体像や中長期の経営方針にまで考えが及ばないと、企業の現状やビジョンに対する理解が深まらないまま入社に至り、転職後に企業の経営実態を知ることになります。転職を行うにあたっては、求人票の情報だけではなく、企業ホームページや業績レポートなどあらゆる情報源を確認し企業理解を深めつつ、面接でも企業の実態について積極的に質問しながら、企業の将来性や安定性を見極めることが大切です。
総じて、転職における失敗の多くは、求人内容や企業についての事前のリサーチ不足や、自分自身の転職ニーズを正確に把握できていない自己分析不足が原因となります。次のセクションでは、転職の失敗につながる、転職活動中の失敗についてお伝えします。
2. 後悔に繋がる転職活動中の失敗
転職を後悔してしまう原因は、転職活動の進め方にあるかもしれません。ここでは、転職活動中にやってしまいがちな5つの失敗をご紹介。ミスマッチな転職に繋がりやすい行動を把握し、その轍を踏まないように参考にしてみてください。
2-1. 自己分析が不十分
転職活動において、自己分析が不十分なまま行動を起こすと、自分に合った職場やキャリアパスを選べず、転職後にミスマッチを感じることになります。例えば、やりたいことばかりに目を向け、その実現可能性を考慮しない場合や、短期的な不満(「今の環境が嫌だ」など)を解消することだけに注目してしまい、長期的なキャリアビジョンが描けていない場合に起こりがちです。
転職活動で「自分がやりたいこと」を追い求めすぎると、結果的に自分に合わない職務に就いてしまい、転職後に後悔することがあります。自己分析を通じて、「できること」「やりたいこと」「求められること」を整理し、長期的なキャリアの視点を持って選択することが転職成功のカギです。
2-2. 履歴書・職務経歴書の内容不足
履歴書や職務経歴書の内容が不十分で、自分の経験やスキルを適切に伝えられないと、選考を通過できないだけでなく、入社後にも自分の能力に見合わない仕事を任される原因になります。たとえば、営業職として目標達成してきた実績を職務経歴書に記載していた場合、優秀な人材である印象を与えることが出来るかもしれませんが、その実績を実現できたプロセスについての記載がないと、転職先でも同じようにパフォーマンスが発揮できるかの判断ができません。実際には上司・先輩や周囲のサポートにより、自分の実力以上のパフォーマンスを発揮できたといったケースもあるはずです。そういった背景や過程を伝えず実績のみアピールすると、面接時に矛盾を指摘される可能性がある他、採用後にも自分の能力以上のパフォーマンスを期待されることになり、転職後のミスマッチに繋がります。
書類準備の際には、具体的な成果や実績だけではなく、そこに至るまでの背景やプロセスまで丁寧に伝えることで、より正確に自分の能力を示すことが出来ます。誇張することなく誠実に自分のスキルや経験を記載することが、転職後のミスマッチを避けるためのポイントです。
2-3. 応募活動の進め方に計画性がない
たとえば「応募できるものにとにかく応募する」や「有名企業ばかりを狙う」など計画性のない応募活動は、効率的ではなく転職後の後悔に繋がる可能性があります。無計画に応募を進めることで、選考を受ける企業の条件が自分に合っていない場合が多く、内定後にミスマッチを感じることになります。また、自分自身に軸を置かずに応募活動を進めると、応募する企業に合わせて志望動機を後付けすることになり、結果として、自分のキャリアの軸を見失ってしまう恐れがあります。
転職活動の軸を明確にした上で、自分のスキルや価値観に合った企業を絞り込み、事前に企業研究を行うことが大切です。また、自分の軸と企業研究の結果を結び付けながら志望動機を考え、選考時にしっかりと伝えることで、転職後の後悔を防ぐことができます。
2-4. 面接での準備不足
面接で企業研究が不十分で、的確な質問ができないと、企業から積極性がないと見なされることがあります。また、面接中に感じた違和感をそのままにして面接を終えてしまうと、入社後に大きなギャップを感じる原因になります。
面接前には、企業のビジョンや事業内容を深く理解し、自分のスキルや経験がどのように役立つかを考えておきましょう。また、逆質問を準備し、企業への関心をアピールするとともに、面接中に感じた違和感についても質問して疑問点を解消することが大切です。こうすることで、転職後のミスマッチを防ぐことができます。
2-5. 内定承諾を急ぎすぎる
転職を急ぐあまりに、条件を十分に考慮せず内定を承諾してしまい、転職後に後悔することがあります。特に、残業時間や勤務地の条件を十分に確認せず入社を決めたり、家族や周囲との相談を怠ったりすることで、私生活に悪影響が出ることがあります。
内定を承諾する前に、可能であれば人事担当者との面談の機会を設け、改めて条件や仕事内容を確かめるなど、入社後の生活を見据えて冷静に確認し、慎重に判断することが大切です。また、自身の転職軸を振り返り、転職の目的や長期的なキャリアビジョンを再確認した上で、それに合った選択かを見極める必要があります。さらに、家族やパートナーと相談し、生活面への影響を考慮することも大切です。
3. 転職を失敗しないための対策
自分にとって最適な転職を実現するには、入念な事前準備や徹底した情報収集が必要です。ここでは、ミスマッチをなくす5つの転職ステップをご紹介します。
3-1. 自己分析を徹底する
転職後のミスマッチを避けるためには、自己分析を徹底的に行い、自分の強みや適性、キャリアビジョンを明確にすることが重要です。以下の方法を参考に、自己分析を進めましょう。
POINT1:目標を明確にする
5年後や10年後の自分がどんな姿でありたいか、理想的なキャリアや生活を具体的に描きます。将来のビジョンを明確にすることで、今後の進むべき方向が見えてきます。
具体的な方法:
- ロールモデルを見つける
自分が尊敬する人物や理想的なキャリアを持つ人を参考にして、目標を具体化します。どのような道を歩んでいるのかを知ることで、自分の目指す姿が見えてきます。 - 制限を取り払う
実現可能かどうかを考えずに、やりたいことや理想の姿を自由に描いてみましょう。制約に縛られず、まずは自分の夢を大きく描くことが大切です。 - 価値観を整理する
自分が大切にしている価値観や信念をリスト化し、どんな時にやりがいを感じるのかを明確にします。自分の仕事観や求める環境を再確認することが、目標を設定する際の指針になります。 - ありたい姿にフォーカスする
「周囲から信頼される人になりたい」「仕事と家庭を両立したい」といった、具体的なやりたいことだけでなく、「どんな人間でありたいか」という視点で目標を設定します。 - やりたくないことに注目する
「何をやりたくないか」「こうありたくない」と感じることも明確にし、それを避けるためにどうすべきかを考えることも重要です。
目標設定の方法は人それぞれですが、さまざまなアプローチを試し、自分に合った方法で理想の自分を描きましょう。
POINT2:現在地を把握する
現在の自分がどれだけ成長しているか、どのような経験やスキルを持っているかを整理し、自分の強みや弱みを客観的に見つめ直します。
具体的な方法:
- 実績を棚卸しする
これまでの職務やプロジェクトで得た成果を振り返り、自分がどのようなスキルを身につけたのかを明確にします。過去の成功や失敗を整理することで、自己理解が深まります。 - フィードバックを活用する
上司や同僚、友人から受けたフィードバックを振り返り、他者から見た自分の強みや改善点を把握します。他者の意見は、自分では気づかない自己の特徴を知る手助けになります。 - 成功と失敗の体験を分析する
印象に残った成功体験や失敗体験を分析し、それぞれから学んだことや改善点を整理します。このプロセスを通じて、自分にとって重要なスキルや成長の機会が見えてきます。
自分の現在地を把握することは、自身の市場価値を明確にすることに繋がります。
POINT3:積むべき経験やスキルを明確にする
目標を実現するためには、現時点で不足している経験やスキルを把握し、それを補うために何を学ぶべきかを明確にします。
具体的な方法:
- ギャップ分析
POINT1、POINT2で明確にした自分の目標と現在地のギャップを分析し、どこに不足があるのかを明確にします。例えば、「リーダーになりたいが、プロジェクト管理の経験が不足している」といった具体的な課題を洗い出します。 - 市場ニーズの調査
興味のある業界や職種で求められるスキルを調べ、自分に足りない要素を特定します。これにより、今後身につけるべきスキルや経験を明確にできます。 - スキル習得方法の調査
自分が必要とするスキルや経験をどうやって習得するかを調べます。オンライン講座や社内プロジェクト、外部研修など、学びの機会を探し、具体的な行動計画を立てます。
目標だけにフォーカスするのではなく、自分の現在地や不足しているスキルを冷静に把握することが、ミスマッチのない転職を実現する第一歩です。
参考:第二新卒こそ自己分析が大事!自己分析のゴールと効果的なやり方を解説!-とこキャリ
3-2. 書類作成を丁寧に行う
転職後のミスマッチを避けるためには、職務経歴書や履歴書を丁寧に作成し、自分のスキルや経験が企業の求める条件と一致していることをしっかりと伝えることが重要です。職務経歴書は、単なる業務の履歴を示すものではなく、自分がどれだけ企業に貢献できるかをアピールする重要なツールです。以下のポイントに注意して作成しましょう。
POINT1. 成果を具体的に記載する
職務経歴書においては、具体的な業務内容や役割と、そこで残した成果や実績を数字や具体的な事例、そこに至るプロセスや背景も含めて記載することが重要です。
- 具体例: 「既存顧客の維持に注力しすぎて新規顧客開拓が停滞していたことに課題を感じていた。そのため、営業戦略を見直し、新規開拓に注力する方針に変更。オンライン広告キャンペーンを最適化し、ターゲット市場へのアプローチを強化することを実施。結果として、顧客層の拡大を実現し、年間売上を10%向上させることに成功した。
このように、残した実績に対して自分がどのように関わったのかを示すことで、より正確にスキルや仕事の姿勢を採用担当者に伝えることが可能です。
POINT2. キャリアストーリーを伝える
職務経歴書においては、自分のスキルや経験を示すだけではなく、自身のキャリアストーリーを示し、社会人としての価値観や姿勢を伝えることも大切です。職務要約においては、異動や転職などターニングポイントの背景も交えながら時系列で簡潔に自分のキャリアを整理して伝えることが求められます。また、過去の職歴や業務内容を整理する際は、最新のものから順番に記載します。さらに、業務内容を記載する際には、以下の情報を盛り込むことをおすすめします:
- 役職や担当業務
- 期間(年月)
- 業務の具体的な内容
- 得られた成果や実績
こうした情報を整理することで、在籍歴や経験・スキルの有無だけではなく、あなたの社会人としての個性やスタンスが表現され、採用担当者が経歴書から、採用後の活躍イメージを想像できるようになります。
POINT3. 過大評価や曖昧な記載は避ける
ミスマッチを起こさないためには、過大評価や曖昧な表現を避けることが非常に重要です。たとえば、「リーダーシップを発揮した」と記載する際には、具体的なプロジェクトや成果を示すことで、信頼性が増します。過度な誇張や不明確な表現を避け、事実に基づいた実績を正直に記載することが信頼性を高め、転職後のミスマッチを防ぐために必要です。
参考:「職務経歴書が書けない!」基本的な作り方と、書けない原因に合わせた対処法‐とこキャリ(tokon.co.jp)
3-3. 応募先を絞り込む
応募先を検討する上では、自己分析をもとに転職の軸を形成することが大切です。「3-1. 自己分析を徹底する」でお伝えした自己分析を踏まえて、自分の「目標」「現在地」「積むべき経験・スキル」を明確にした上で、その3要素が重なる求人を探しましょう。3つが重なる求人が見つからない場合は、「現在地」を軸に優先順位をつけて求人を選ぶことをお勧めします。
POINT1. 「現在地点」を求人選定の軸にする
転職活動では、企業が求めるスキル・経験と自分のできることが一致していることが最も重要です。そのため、自分が持っているスキルや強みをまず明確にし、求人のニーズと照らし合わせることが、転職活動のスタート地点となります。自分が応募できる求人を見極めることができれば、ミスマッチを避け、より自分に合った企業を選べるようになります。
POINT2. 「目標」を選ぶか、「積むべき経験・スキル」を選ぶか
転職活動を進める中で、目標の実現と経験・スキル習得の両立は難しい場合があります。例えば、自分のやりたいことに重きを置くことで、モチベーション高く働ける可能性がある一方、自分のスキルが足りない場合、理想通りの求人を見つけるのが難しくなります。そのためやりたいことを優先するか、積むべき経験・スキルを重視するかの判断が求められます。
もし、目標がまだ十分に実現できない状況であれば、必要な経験やスキルの習得を重視して求人を選び、将来的に自分の目標を実現するために必要な経験を積む選択をすることも重要です。例えば、希望する職種に応募できなくても、必要なスキルや経験を積むことで次のステップに進める可能性があります。
POINT3. 目標や積むべき経験・スキルが見つからない場合は…
もし自分の目標や習得すべき経験・スキルがまだ見えていない場合、現在地を軸に求人を選び、与えられた環境や職務に対して真剣に取り組むことで、その延長線上で目標や身に着けたいスキルが見えてくることがあります。いわゆる「置かれた場所で咲く」という考え方です。ただし、その際にも組織風土や職場の人間環境、ワークライフバランスなど、自分が無理なく働ける環境かどうかを慎重に検討することが大切です。スキルや能力、目標だけでなく、「自分がどうありたいか」という自身の価値観を明確にすることも、求人の選定基準を定める上では重要です。
3-4. 企業研究を行い、面接の場を活かす
転職後のミスマッチを防ぐためには、企業研究を行い理解を深めるとともに、面接の場を上手く利用しながら情報を収集し、転職後の就業イメージを固めていくことが重要です。ここでは、企業研究や面接準備の具体的な方法をご紹介します。
企業研究で大事な3つの観点
自己分析の結果を軸に選定した求人が本当に自分に合っているのかを検証するには、事前の企業研究が不可欠です。情報収集においては、下記の観点を意識してみてください。
情報収集の観点:
- 応募企業のことだけではなく、競合や顧客など、企業を取り巻く市場環境について調査する:
応募企業のことはもちろん、競合との違いや、どんな顧客を対象にサービスを展開しているかといった視点を交えて企業を見ることで、事業戦略や強みなどをより深く理解することが出来ます。 - 理念やビジョンなどの経営目線と、実際に働く人や環境などの現場目線の両視点から企業を見る:
理念やビジョン、経営方針といった経営者の目線と実際の労働現場の目線を両方理解することで、理念や経営方針の浸透度合いを把握できる他、そこにギャップがあれば経営上の課題を想像することが出来ます。 - 「なぜ?」を繰り返し、事業や経営の背景に注目しながら理解を深める:
会社の設立背景や事業の立ち上げ背景、経営判断の基準、組織構成など、あらゆることに「なぜ?」という疑問を持って情報を見ることで、企業に対してより深い理解を持つことが出来ます。
情報は企業や業界のことについては、コーポレートサイトを中心に、代表やキーマンのインタビュー、業界ニュース、競合のコーポレートサイト、労働現場のことについては求人サイトや採用ホームページを中心に、社員口コミサイトなどを調べたり、可能であれば実際にオフィスや店舗見学を行うことで情報を取得することができます。
面接準備でやるべきこと
面接は企業、求職者双方にミスマッチが無いよう、お互いの認識を揃えるための大事な機会です。前述の企業研究と併せて、下記の観点で準備を進めてみてください。
参考:企業研究が楽しくなる!転職に使える、企業理解を深める具体的なやり方‐とこキャリ(tokon.co.jp)
面談準備の観点
- 企業研究をもとに、企業理念やビジョンが自分の価値観や目標とどう重なるのかを明確にする:
企業のストーリーと自分の過去のストーリーや今後のキャリアビジョンが重なる部分に焦点を当てることで、その企業に入社する必然性(=志望動機)が明確になると同時に、企業に対しても説得力のある自己アピールが出来るようになります。 - 企業研究ではわからなかったことを質問リストとして準備する:
企業研究を通じて芽生えた疑問や浮かんだ仮説を、面接の場で答え合わせをするつもりで、企業に確認したいことを整理します。そうすることで、企業に質問を求められた際に、より建設的な対話ができるようになります。
面接においては、評価を勝ち取るための自己アピールにこだわり過ぎず、自身も企業を評価するつもりで、色々な質問をしながら対話を楽しんでみてください。双方が建設的な対話を重ねることが、結果として転職後のミスマッチを防ぐことに繋がります。
参考:転職を成功に導く逆質問のコツ:面接で役立つ「仮説思考」とは?-とこキャリ(tokon.co.jp)
転職の失敗を防ぐ上では、自己分析により自分の軸を定めること、その軸に従った求人選定や自己アピールを行うこと、そして応募企業について事前のリサーチや面接時の確認を通じて深く理解をすることが大切です。一方で、そこまで入念な対策をして転職を進めても、実際入社してみると思い通りにいかないこともあるかもしれません。しかし、納得いくまで対策した上での決断であれば、入社後、多少の困難があっても前向きに乗り越えることが出来るはずです。
4. 「転職を失敗してしまった」と感じた時のリカバリー方法
どんなに慎重に決断をしたとしても、転職後に違和感を覚え「もしかしたら失敗だったかも…」と感じてしまうことはあるかもしれません。ここでは、転職を失敗と感じてしまった時のリカバリー方法について解説します。
4-1. 転職にギャップはつきものだと認識する
転職後に「思っていたのと違う」と感じることは珍しいことではありません。どんなに入念に下調べをしても、求人票や面接だけでは企業の全てを理解するのは難しく、実際に働いてみて初めて分かることも多いです。しかし、このギャップを「失敗」と捉えるのか、新しいキャリアを築くための「成長痛」と捉えるのかで、仕事への向き合い方は大きく変わります。
会社が変われば、社風や文化、人間関係も大きく変わります。最初はこれまでの環境とは全く違う常識や慣習に戸惑うことも多いかもしれません。しかし「郷に入っては郷に従え」という言葉があるように、新しい環境に飛び込んだからには、自分自身の常識や価値観をアップデートしていくことが必要です。最初は違和感や精神的な負担もあるかもしれませんが、それを「成長痛」と捉えれば、それを乗り越えた先に自分自身の成長が期待でき、新しい環境に対してポジティブに向き合うことが出来るはずです。
4-2. 失敗だと感じる要因を分析する
「失敗」と感じる背景には、具体的な要因があるはずです。例えば、業務内容がスキルに合わない、社風や文化が合わない、条件面が期待と異なる、などです。これらの要因を整理し、自分でコントロールできるものとできないものを分けて考えると、解決に向けたアクションが見えてきます。
例えば、新しい職場で慣れない業務や商品に触れる中で、自身のスキル不足を感じてしまうこともあるかもしれません。しかし、新しい環境で上手く行かないのは当たり前のこと。スキル不足を感じたら、日々の業務をしっかり振り返りながら、自分にどんなスキルが足りないのかを分析してみましょう。自分に足りないものが可視化出来たら、何を学び、何に挑戦すべきか、解決のアクションも明確になるはずです。一方、企業文化や人間関係に違和感を感じた場合は、上司や同僚とのコミュニケーションを工夫してみたり、それでも違和感がぬぐえない場合は、人事担当者など、会社に相談してみるのも手段の一つです。
4-3. 企業に留まるか、再び転職をするか、それぞれの良し悪しを把握する
転職後にギャップを感じても、必ずしも再転職が最適解ではありません。すぐに再度の転職を検討する前に、そのまま在籍企業に留まる場合と、再び転職をする場合のメリット・デメリットを把握し、冷静な判断を行いましょう。
留まるメリット
- 環境を変えずに安定を保てる。
- 業務内容や環境への適応スキルを身につけるチャンスがある。
- 人間関係や信頼を再構築し、評価を高められる可能性がある。
留まるデメリット
- 根本的な問題が解決されないまま、時間が経過するリスクがある。
- ストレスや不満が蓄積し、メンタル面に悪影響を及ぼす可能性がある。
現職に留まる場合は、自分が取り組める改善点をリストアップし、実際に行動することで状況が変わる可能性があります。
再び転職するメリット
- 現職で感じている問題を抜本的に解決できる。
- 自分に合った働き方や成長機会を得られる可能性がある。
- 転職活動を通じて、より適切なキャリア選択を目指せる。
再び転職するデメリット
- 転職活動には時間とエネルギーが必要で、ストレスも伴う。
- 短期離職により転職先での定着を懸念され選考結果に不利になる可能性がある。
- 再転職の理由を採用担当者に説明する際、強い説得力が求められる。
一般的に、短期間で転職を繰り返すことは、計画性の欠如や忍耐力の不足と見なされ、選考で不利に働くことがあります。そのため、転職後すぐに再転職を考えることはお勧めできません。しかし、入社前の就業イメージと実際の働き方に大きなギャップがある場合、特にメンタルへの影響を考慮し、無理なく最適な選択をすることが重要です。残念ながら、一部の企業では入社前の説明が不十分であったり、実際の待遇や環境が異なることがあります。長期的な社会人としてのキャリアを考えた時に、自己の健康やキャリアの成長性を優先することは大事な観点です。
もしも短期での転職を決断する際は、短期離職に至った理由を冷静に振り返りつつ、そこで感じた葛藤や決断までの過程も前向きに捉え、次のキャリアに繋げていくことを心がけてください。無理せずに自分に合った選択肢を取ることが最終的に自分にとってプラスになります。
5. まとめ
転職においてギャップや不満を感じることは珍しくありませんが、それを「失敗」と捉えるかどうかは、自分次第です。現職で状況改善を目指すのか、新たな環境で再出発を図るのか、どちらを選ぶにしても、自分のキャリアビジョンに基づいた冷静な判断が重要です。失敗は成長への一歩とも言えます。この記事を通じて、前向きな一歩を踏み出すためのヒントを得ていただければ幸いです。焦らず、着実に、自分らしいキャリアを築いていきましょう!