仕事も手を抜かず、与えられたことはきちんとやってきた。周囲とも衝突せず、上司の期待にも応えてきたつもりである
それなのに・・・
「このまま、この会社にいていいんだろうか?」
「3年頑張ってきたはずなのに、自分は何ができるんだろう?」
「給料も大して増えてないし、将来これでやっていけるのかな......」
このような不安を感じることはありませんか?
積み上げてきた歩みは可視化することが難しいので、不安に思うこともあるかもしれません。しかし、不安を感じるのは、"ちゃんと歩いてきたからこそ、次の景色が見えてきた証拠"であるといえます。
本記事では、「このままでいいのか?」という問いに対して、否定でも正解探しでもなく、"自分で納得できる選択"をつくっていく視点をご紹介します。不安は、立ち止まっていいタイミング。焦らずに、自分のこれまでと、これからを一緒に見直してみませんか。
目次
- 1. 仕事のことで将来が不安になるのは自分だけ?
1-1. 会社・スキル・給料・働き方...不安は誰にでもある
1-2. 漠然とした不安の正体は「見えない未来」への恐れ - 2. 将来の不安を構成する主な3つの要因
2-1. 会社への不安(経営方針、組織体制、評価基準など)
2-2. 成長への不安(スキル、経験、立場など)
2-3. 経済不安(給与、昇給機会など)
2-4. 働き方の不安(長時間労働、体力・精神的なハードワークなど)
2-5. 不安が重なると、自己肯定感が下がってしまうメカニズム - 3. 仕事に不安を感じるのは悪いことではない
3-1. 不安を感じるのは健全な証拠
3-2. 不安は現状を見直すための変化の予兆 - 4. 不安にとらわれない自分の軸の作り方
4-1. キャリアの軸を見つける3つの問い(価値観・強み・理想の状態)
4-2. 今の職場・仕事から得ているものの棚卸し - 5. 不安を払拭し、目指すべき未来を切り開くための選択肢
5-1. 「残る」「変える」「離れる」の選び方
5-2. 安易な転職ではなく「自分で決めた選択」を - 6. まとめ
1. 仕事のことで将来が不安になるのは自分だけ?
「このままでいいのか?」という不安を抱くことは、決して特別なことではありません。むしろ、それは多くの人が一度は立ち止まる"キャリアの節目"なのです。まずは、あなたが感じている不安が、決して珍しいものではないことを知っていただき、安心して次のステップに進めるような土台を作っていきましょう。
1-1. 会社・スキル・給料・働き方...不安は誰にでもある
一見順調そうに見える同僚や友人も、実は「この会社でいいのか?」「自分には何ができるのか?」と同じような不安を抱えています。株式会社エムエム総研が実施した調査によると、20代会社員の約8割が将来への不安を感じているという結果もあり、これは決して珍しい感情ではありません。特に社会人3年目以降は、「目の前の仕事を覚える」フェーズが終わり、自分のキャリアを見つめ直す時期と重なりやすいため、多くの人がこの時期に同じような悩みを抱えるのです。あなたが「不安になっている自分」を責める必要は全くありません。
※参考:【約80%の若手社員が“将来が不安”と回答】新入社員は、配属希望が通らないとすぐ辞めてしまう?-PR Times(prtimes.jp)
1-2. 漠然とした不安の正体は「見えない未来」への恐れ
人は"見えないもの"に対して本能的に不安を抱きます。将来は予測不可能だからこそ、恐れや迷いが生まれるのは自然なことです。これまでがむしゃらに走ってきた人ほど、「ふと立ち止まったとき」に不安が押し寄せやすいのですが、それは真面目に取り組んできた証拠でもあります。ここで大切なのは、「何に怯えているのか?」を具体化することです。漠然とした不安を言葉にして整理することで、それが後の内省や行動のヒントになっていきます。不安は敵ではなく、自分の本当の気持ちを教えてくれる大切なサインなのです。
2. 将来の不安を構成する4つの要因
「不安」という言葉は漠然としていてつかみづらいものです。そこで、不安を「会社」「成長」「経済」の3つに分類し、あなたの不安の正体に少しでも気づけるよう整理してみましょう。それぞれの不安には、"頑張ってきた"という前提があるからこそ生まれる「報われなさ」が隠れています。
2-1. 会社への不安(経営方針、組織体制、評価基準など)
入社当初は「この会社で腰を据えてやっていこう」と思っていたのに、ふと気づくと方針の迷走や昇進の不透明さ、評価されない体制などに不信感が募ってくることがあります。「この会社の未来に賭けて頑張ってきた自分の選択は、間違っていたのでは?」という苦しみが生まれるのです。これは単なる愚痴ではなく、会社を信じて頑張ってきた自分への疑念が、深い自信喪失につながってしまう状態です。真面目に取り組んできた人ほど、この種の不安を強く感じやすいと言えるでしょう。
2-2. 成長への不安(スキル、経験、立場など)
仕事を覚え、顧客対応にも慣れ、ミスなくこなせるようになったのに、同期はリーダーに、後輩は大口案件に関わっている。自分だけ「ただの平社員」のまま取り残されている気がしてしまいます。「ちゃんとやってきた」と思っていた数年に対して、期待するような結果が見合っていないと感じると「自分って、思っていたほど評価される存在じゃないのかもしれない」という気づきが、じわじわと不安を呼んでしまうのです。真面目な人ほど感じやすい「他人との比較から来る停滞感」は、多くの人が経験する自然な感情です。
2-3. 経済不安(給与、昇給機会など)
入社3年、責任も任されるようになったのに、給与明細は"ほぼ据え置き"。頑張っても給料が増えない現実に、「報われてない」という強い違和感を覚えることがあります。さらに物価上昇、将来の生活設計、結婚や住宅購入といったライフイベントを考えると、「10年後、自分はこれでやっていけるのか?」という根本的な将来不安へとつながっていきます。これはお金の問題を単なる愚痴として片付けるのではなく、「将来への設計が描けない苦しさ」として受け止める必要があります。
2-4. 働き方の不安(長時間労働、体力・精神的なハードワークなど)
毎日の残業や休日出勤、体力を使う現場作業、精神的にハードな顧客対応など、今の年齢では乗り切れていても、「5年後、10年後も同じペースで働けるだろうか?」と不安になることがあります。結婚や子育て、親の介護といったライフイベントを考えると、今の働き方では両立が難しそうに感じてしまうのです。また、体力的な限界や、ワークライフバランスへの価値観の変化も相まって、「このままでは持たない」という危機感が生まれます。これは単なる甘えではなく、持続可能なキャリアを考える上で自然な懸念なのです。
2-5. 不安が重なると、自己肯定感が下がってしまうメカニズム
「頑張ってきたのに、報われていない」という不安が重なると、"自分には価値がないのでは"という感情に変わっていきます。会社も、自分の力も、生活も、そして働き方も信じられなくなったとき、自己肯定感は著しく下がってしまうのです。ここで大切なのは、自分を責めるのではなく、"なぜそう感じているのか"を理解することです。不安は、行動よりも先に「気づく」ことから始まります。この4つの不安タイプを理解することで、あなたの気持ちの整理がついて、次のステップに進む準備が整うのです。
3. 仕事に不安を感じるのは悪いことではない
不安の正体に少しずつ気づいてきたところで、その不安を否定したり、排除しようとしたりせず、まず"正当に存在する感情"として受け入れることの大切さをお伝えします。不安は、行動のブレーキではなく、「次に進むサイン」として使えるものであると認識を切り替えていきましょう。
3-1. 不安を感じるのは健全な証拠
不安を感じているということは、今の状態に対して"何かを変えたい"という感受性が残っている証拠です。無関心ではなく、真面目に向き合ってきたからこそ、不安という感情が出てくるのです。誠実にやってきた人ほど、「このままでいいのか?」と真剣に悩みます。それは、むしろ前向きな兆候だと捉えることができます。「不安を感じる自分は弱い」ではなく、「不安を感じられる自分は鈍っていない」という再定義をしてみてください。
3-2. 不安は現状を見直すための変化の予兆
不安は単なる"マイナス感情"ではなく、現状に対する問いかけでもあります。「自分はこの働き方をずっと続けたいのか?」「今の評価軸で、本当に納得できるのか?」という問いが生まれているのは、本当はもっと自分らしく働きたいという欲求があるからです。不安は行き詰まりではなく、「自分が納得できていない何かがある」という"ズレ"のサインなのです。そのズレに気づいた今こそ、見直しのチャンスが訪れているのかもしれません。不安を敵視するのではなく、自分の本当の気持ちを教えてくれる大切なメッセージとして受け取ってみましょう。
4. 不安にとらわれない自分の軸の作り方
不安の正体に気づき、それを「変わりたいというサイン」として捉え直したら、その不安を単なる感情で終わらせず、内省を通じて"行動につながる問い"に変換していきます。「今までの頑張りは正しかったのか?」という問いから、「これからどう在りたいか?」という未来に向けた視点転換を促していきます。
4-1. キャリアの軸を見つける3つの問い(価値観・強み・理想の状態)
自分が「何に納得感を感じるか」「どんなときにやりがいを感じたか」を探る問いを立ててみましょう。具体的には以下の3つの観点で考えてみてください。
- 価値観:どんな仕事に「意味」や「誇り」を感じたか。お客様に感謝されたとき、チームの役に立てたとき、新しいことを学べたときなど、心が動いた瞬間を思い出してみてください。
- 強み:他人より"自然にできたこと"や"頼られた場面"は何か。「そんなの当たり前でしょ」と思うことほど、実はあなたの強みかもしれません。
- 理想の状態:5年後も続けていたいと思える働き方とは何か。お金や地位ではなく、どんな状態で働いていたら幸せを感じるかを考えてみてください。
これらの問いによって、会社の状態、周囲との比較、現状の収入に捉われず、"自分が大切にしたい軸"を明確にすることが出来ます。
※参考:「仕事の価値観が合わない」と感じた時こそ、自分を見つめ直すチャンス。価値観の再定義からはじめる充実したキャリアづくり-とこキャリ(tokon.co.jp)
自己分析でよく言われる「強み・弱み」|自分らしさ・特性を理解し活かす方法とは?-とこキャリ(tokon.co.jp)
4-2. 今の職場・仕事から得ているものの棚卸し
「真面目に勤めてきたこの数年間、何も得られていない」と感じてしまう人に向けて、"可視化されていない成長"を言語化する方法をお伝えします。例えば、いつもお客様対応で感謝されていたこと、後輩に自然とアドバイスしていたこと、トラブル時に冷静に動けるようになっていたことなど、これらは「肩書」や「数字」には現れないけれど、確かに積み重ねてきた力です。「自分は何も持っていない」ではなく、"まだ言語化していないだけ"という視点を持ってみてください。内省を通じて自分の価値を再発見し、これまでの経験を次のステップにつなげる土台を作ることができれば、不安は成長への足がかりに変わっていくのです。
※参考:【完全ガイド】キャリアの棚卸し やり方・活かし方を徹底解説!-とこキャリ(tokon.co.jp)
5. 不安を払拭し、目指すべき未来を切り開くための選択肢
内省を経て、「自分は何に不安を感じていたのか」「どんな価値観を大切にしたいのか」に少しずつ気づくことができたら、その気づきを行動に変えていくための"現実的な選択肢"を整理し、具体的な行動に繋げていきます。転職だけが解決策ではありません。あなたが自分のペースで、自分に合った行動を選べるような視野を広げていきましょう。
5-1. 「残る」「変える」「離れる」の選び方
不安を感じたとき、多くの人が「辞める or 辞めない」の二択に追い込まれがちですが、実際にはもっと柔軟な選択肢があります。
- 残る:今の環境の中で関係性や役割を見直す選択肢。異動希望を出す、上司との対話を増やす、働き方について交渉するなど、環境は変えずに中身を調整する方法です。
- 変える:社外活動、副業、スキルアップ、資格取得などで「視点」を増やす選択肢。今の仕事を続けながら、新しい可能性や自信を育てていく方法です。
- 離れる:転職、独立、業種転換など「環境そのものを変える」選択肢。しっかりとした準備と理由があるときに選ぶ方法です。
重要なのは、「辞めるかどうか」よりも「自分の意志で選ぶかどうか」です。自分の納得感を軸に置いた選び方が、不安に振り回されないキャリア形成につながります。
5-2. 安易な転職ではなく「自分で決めた選択」を
転職は"逃げ"ではありませんが、"流されるような転職"は、後で後悔する可能性もあります。内省を経ていれば、「何を軸に次を選ぶべきか」が見えてくるはずです。例えば、今の環境ではどうしても大切にしたい価値観が実現できない、自分の強みをもっと活かせる仕事に移りたい、給与や待遇よりも働き方の裁量を重視したいなど、そうした"自分の中から出てきた理由"があるかどうかが、選択の質を決めます。「変わりたい」のではなく、「どう変わりたいか」が重要なのです。不安に押されて衝動的に動くのではなく、内省に基づいた納得のある選択をすることで、あなたは自分のキャリアを主体的に設計していくことができるようになります。
6. まとめ
「このままでいいのかな...」という不安は、あなたが真面目に歩んできた証拠であり、決して恥ずべきものではありません。その不安の正体を理解し、自分なりの価値観や強みを見つめ直すことで、きっと納得のいく道筋が見えてくるはずです。すぐに答えを出す必要はありません。焦らずに、一歩ずつ自分のペースで進んでいけば大丈夫です。あなたがこれまで積み重ねてきた経験や努力は、決して無駄ではありません。その上に築く次の一歩が、きっとあなたらしいキャリアにつながっていくでしょう。どんな選択をしても、それがあなた自身で決めた道であれば、それが正解なのです。