仕事に向き合うスタンスは人それぞれ。
仕事にやりがい、生きがいを求めて働く人もいれば、
生きるために仕事をしつつ、自分の生活を大事にしたい方もいるはずです。
一方で、転職を考え情報収集を始めると、色々な意見に触れることで逆に迷いが生じてしまうこともあるかもしれません。
「年収UPの方法は?」
「ブラック企業の見分け方は?」
「ベンチャー・中小・大手、どれを選べばいい?」など、
様々なことを気にするあまり、転職の目的を見誤ってしまう可能性もあります。
周囲の意見や世間の風潮に流された仕事選びをしてしまうと、当初思い描いた転職とは違う選択をして後悔してしまう可能性も。
目的を見失わずに転職行うためにも、今回は仕事選びの軸を作るための考え方をお伝えしていきます。
仕事選びの軸を作る「4つの魅力因子」とは?
人が組織に魅力を感じ、参加したいと感じる要因は大きく4つに分類できると言われてます。
①理念/目標
「企業理念に共感する」「目指しているビジョンにワクワクする」「成長戦略や目標に魅力を感じる」など、企業が目指す方向に賛同できるかどうかを重視する。
②仕事/活動内容
「魅力的なサービスや商品に関わりたい」「職種・役割にやりがいを感じる」「自分だから担えるミッションを任される」など、自分が担う役割が魅力的か、自分に合っているかを重視する。
③組織/構成員
「尊敬できる上司がいる」「社風に魅力を感じる」「人間関係にストレスがない」など、企業風土や一緒に働く仲間の魅力を重視する。
④環境/特権
「通勤時間が短い」「残業が少ない」「報酬が魅力的」「福利厚生が充実している」など、職場環境や制度、待遇の魅力を重視する。
これらが4つの魅力因子であり、どれに惹かれるか・重視するかは一人ひとり異なります。
1つだけというよりも、これらを複合的に見ながら仕事探しをしています。
自分はそれぞれの要因をどの程度重視しているのかを考えていきましょう。
過去の選択と心境を振り返る
自分にとってどの魅力がどれくらい大事か。
それを考える上で、過去に組織参加をした経緯や、その時の心境などを振り返ると、その時の判断軸が見えてくるかもしれません。
今在籍している会社や、学生時代のサークル・部活動やバイト、ボランティア活動など、なぜあなたはそこに参加したのでしょうか?
たとえば学生時代の経験に当てはめていくと…
○理念/目標タイプ
・甲子園出場を目指し、野球の強豪校に入学。
・社会貢献のためにボランティア活動に参加。
○仕事/活動内容タイプ
・スラムダンクの影響を受けてバスケ部に入部。
・興味関心の強いテーマを扱うゼミに参加。
○組織/構成員タイプ
・仮入部の際に気さくに声をかけてくれた先輩に憧れラグビー部に入部。
・アットホームな雰囲気に惹かれ居酒屋でアルバイト。
○環境/特権タイプ
・内申点を上げるために生徒会に参加。
・生活費を浮かすために賄いつきの飲食店でアルバイト。
いかがでしょうか。
このように、過去の自分がどのような理由で参加を決意したのかを思い出してみましょう。
そして、その決意は自分にとって納得のいく、満足な選択だったと言えるでしょうか?
自分の選択によって充実した生活を送っていた方も多いと思いますが、一方で、その選択を後悔したことや、いまいち充実した生活を送れなかったこともあるかもしれません。
・甲子園出場を目指し、野球の強豪校に入学。
⇒ギスギスしたチームの中で、自分の力を発揮できなかった。(組織のミスマッチ)
・スラムダンクの影響を受けてバスケ部に入部。
⇒チームとして明確な目標がなかったので、張り合いがなかった。(理念のミスマッチ)
・アットホームな雰囲気に惹かれ居酒屋でアルバイト。
⇒仕事終わりが夜遅くなることも多く、体力的に厳しかった。(環境のミスマッチ)
・生活費を浮かすために賄いつきの飲食店でアルバイト。
⇒明るい接客が苦手で、働くことがストレスだった。(仕事のミスマッチ)
選択の結果ミスマッチが生じていたなら、自分が重視している軸が本当は別にあった可能性もあります。
また、重視する軸に間違いはなかったとしても、それ以外にも最低限外せない要因があるのかもしれません。
過去にどのような選択をしたか、その結果どのような心境を抱いたか。
この観点で自分の経験を振り返ると、自分が大事にしている軸や、最低限外せない条件が見えてくるのではないでしょうか?
自分に合う職場か見極める、仕事選びのチェックポイント
応募した企業が自分が重視する軸に合っているか?
紹介した4つの魅力因子をもとに、どのような観点で企業をチェックすべきか考えてみましょう。
理念/目標のチェック
企業理念やビジョンはホームページで確認することができます。
上場企業であれば、IR情報の中で中長期経営戦略を確認することもできるので、5年後、10年後、会社がどのように変化していくかもイメージすることができます。
策定してある理念やビジョンでは分かりにくい場合でも、代表挨拶や事業内容なども含め、多角的な視点で情報を見ると、企業の目指す方向が見えてくるかもしれません。
まずはそこに共感できるか、その企業が描く未来にワクワクできるかどうかが大事です。
また、理念・ビジョンを描くだけではなく、それを実行できるかどうかも大事な観点。
理念・ビジョンが組織に浸透しているか、事業内容はそれを体現するものになっているか、ビジョン実現のための道筋は描けているか、といったことも確認できれば、より企業理解も深まり、共感度合いが把握できるはずです。
理解を深めるためにも、面接で経営者や役員の方が登場された場合、直接質問できる貴重な機会です。
「御社をより理解したいので、ぜひ教えてください」と、積極的に質問してみてもいいですね。
仕事/活動内容のチェック
自分がやりたい仕事かを理解するには、仕事内容が具体的にイメージできることが大切。
求人情報を見れば仕事内容は記載されていますが、文字だけで伝わるイメージには限界があります。
近頃は動画なども用いて自社の仕事を紹介する企業も増えてきたので、そのような情報があればより積極的に確認しましょう。
就きたい業界、職種が決まっているのであれば、同業同職種の求人をいくつか比べてみると多角的な視点で見ることができ、より仕事像が浮かび上がってくるはずです。
また、どんなスキル・経験値が身に付くか、明確な昇給・昇格の条件があるかといった観点も、キャリアアップを考える上では重要です。
先輩社員の声を聞く機会があれば、一人前になるまでの道のりや、成長のスピード感なども具体的に把握できるのではないでしょうか?
組織/構成員のチェック
社風や人間関係は企業の内部に入ってみないと感じ取ることがしづらい部分。
もし選考前後で職場見学や社員交流の場があれば、積極的に参加し、空気感を味わってみてください。
一緒に仕事をする機会が多い配属部署の同僚や直属の上司とは、入社前に顔を合わせておきたいところです。
また、大手であれば交流の幅が広く、中小であれば距離感が近いと言われたり‥。
現場職はスピード感を求められるためコミュニケーションがフランクになり、オフィス職では丁寧さを求められるため落ち着いたコミュニケーションになる。
あくまで傾向ですので、一概に絶対と言うことはできませんが、仕事内容や会社の規模感によっても人間関係は変化していく傾向にあります。
環境/特権のチェック
環境、特権に関しては、勤務地や給与、就業時間、休日、福利厚生など、調べれば把握できる情報が多いです。
一方、公表されている条件に対して、実態が伴っているかもしっかり確認すべきポイント。
会社の平均残業時間に対して所属部署の平均残業時間はどの程度か、休日出勤がある場合は頻度はどれくらいか、福利厚生制度はしっかり利用されていて形骸化していないかなど、公表されている情報を真に受け過ぎず、最低限自分が外せないポイントについては企業に実態を確認するべきです。
転職で大事なのは自分の軸
価値観は人それぞれ。
世間の物差しが間違っているわけではありませんが、ひとりひとりにとって最適な仕事は人によって違うので、一般論に判断を委ねるべきではありません。
会社に人が集まり働いている以上、そこにいる人は何かしらの魅力を感じそこに在籍をしているはずです。
ある人にとっては合わない職場でも、違う人にとっては適職に思えることだってあります。
自分にとっての適職はどのような仕事か。
どんな魅力があり、最低限どのような条件が整っていないといけないのか。
むやみに仕事探しを始める前に、ぜひ一度立ち止まり、自分の軸を確立してみてください。