「未経験歓迎」と書いてある求人に応募したのに、なぜか書類選考で落とされてしまう──。そんな経験をしたことはありませんか?実は「未経験歓迎」と書かれていても、誰でも応募を歓迎しているわけではなかったり、様々な要因によって選考が通過しづらくなっている求人も存在します。本記事では、未経験歓迎の求人に書類選考で落ちてしまう原因を分析し、効果的な対策方法を詳しく解説します。求人選びのコツから、魅力的な履歴書・職務経歴書の書き方、さらには転職エージェントの上手な活用法まで、書類選考突破に必要な情報を網羅的にお届けします。

目次

  1. 選ぶ求人で書類通過率が変わる
  2. 応募書類の内容で書類通過率が変わる
  3. 転職エージェントの利用で書類通過率が変わる
  4. まとめ

1.選ぶ求人で書類通過率が変わる

「未経験歓迎」の求人であっても、様々な要因によって書類通過率は変わります。ここでは、どのような要因が書類通過率に影響しているかを分析し、求人を選ぶ際の注意点をお伝えします。

1.1 求人倍率の違い

求人倍率とは、企業の求人に対して求職者がどれだけいるかを示す指標です。
この数字が1以上だと、求職者1人に対して求人が複数あるため採用がされやすく、逆に1未満だと求職者1人に対して求人が少ないため競争が激しいことを意味します。(例えば、求人倍率が3.0なら1人の求職者に対して3つの求人があるため、採用される可能性が高いということです。)

業種・職種による倍率の差

求人倍率は、業界や職種によって大きく変化します。
厚生労働省が展開する一般職業紹介状況(令和6年3月分及び令和5年度分)によると、「一般事務職」の 有効求人倍率は 0.75%であるのに対し、「営業職」の有効求人倍率は3.56%。つまり、事務職は競争率が激しく、転職するのが難しい傾向にあります。
一般的には事務職や企画・マーケティング職、クリエイター職などは人気があり、未経験から転職をするにはハードルが高くなります。逆に営業職、介護サービス職、販売職などは求人数も多く未経験者でも歓迎している企業が多い傾向にあります。求人倍率を数字まで事細かに覚える必要はありませんが、転職市場の大まかな動向は把握しておいた方が、転職実現に向けた対策が打てると思います。

企業規模や知名度による倍率の差

転職において、特に明確な希望が定まっていない段階だと、求人や企業情報を見ても仕事のイメージが湧かない場合も多く、知名度の高い大手企業や有名なサービスを有する企業に注目してしまうかもしれません。もちろん、身近に感じる企業に転職するのも選択肢の一つですが、当然競争は激しくなります。一方、世の中には大手と比べて発信力が弱かったり、市場規模自体もニッチであまり知られてなかったりするものの、知る人ぞ知るような魅力的な企業・求人もたくさんあります。こういった企業の魅力に気付くことができれば、転職の選択肢もより一層広がるはずです。

1.2 応募求人の選択肢を広げる

未経験歓迎の求人に応募しているのに選考が通過しない理由は、もしかしたら倍率の高い求人を中心に応募をしているからかもしれません。もちろん、希望しない求人に応募するのは本末転倒ですが、自分の希望を軸に選択肢を広げていけば、自身の経歴を評価してくれる企業に出会える可能性が高まります。

「何がしたいか」を明確にする

応募求人の選択肢を広げるには、まずは自分の希望を明確にし、軸を定めないといけません。求人を探しながらでも構いません。自分がどんな仕事・働き方に興味を持つのか、それはなぜなのかを見つめ直し、自分のやりたいことを明確にしていきましょう。
たとえば「事務職に就きたい」と考え、事務募集に応募をしていたとしても、前述の通り事務職は競争率の高い職種なので、未経験ではなかなか書類通過が難しいかもしれません。そんな時は、一度立ち止まってみて、そもそもなぜ自分が事務職を志望しているのか、事務職になって実現したい、やりがい/スキルアップ/キャリアアップ/働き方はどういったものなのかを明確にしてみてください。

転職サイトは設計上、職種や業種を軸に仕事探しがしやすくなっているため、これらを軸とした応募活動をしてしまうかもしれませんが、どんなやりがいを得たいか、どんな働き方を実現したいかといった転職の動機を軸に仕事探しをしてみると、見えてくる選択肢も変わってくるはずです。

理想を実現できる選択肢を探す

たとえば、事務職を志望する理由が「これまで外勤で体力的に辛くなった。なので内勤で働きたい」というものだった場合は、事務職だけでなく、カスタマーサポートのように、サポートセンターからお客様対応をするお仕事もあります。また「外部とのやり取りに不安がある」という理由だった場合は、比較的外部折衝機会の少ない、プログラマーやデザイナー、経理といった専門職にチャレンジしてみるのもよいのではないでしょうか。「人に喜ばれることにやりがいを感じる」という志望理由の場合、もしかしたら営業職などのお仕事も検討の余地があるかもしません。それぞれの職種で働き方のイメージも違うと思いますので、このような形で選択肢を広げるのはもしかしたら難しく感じるかもしれませんが、実際には同じ事務職であっても、企業によって仕事の進め方や任される業務範囲などは大きく変わるため、事務職だからといって理想の働き方を実現できるとは限りません。

職種や業種といったラベルに捉われず、一つ一つのお仕事の働き方をイメージしながら、自分の理想と照らし合わせてみることが大切です。

将来的なキャリアを見越して求人を選ぶ

前述の通り、職種によって競争率に差があるため、選択した職種によっては転職を実現するのは難しいかもしれません。その場合は、自分が目指したいキャリアや身に着けたいスキルを明確にし、そこに繋がるような経験が積める仕事も探してみましょう。
たとえばマーケティング職にチャレンジしたいという希望を持っていた場合。マーケティング職は未経験者向けの求人は少なく、仮にあったとしても競争率が高くなる傾向にあります。一方で、たとえば営業職や販売職は、顧客との商談を通じて世の中のニーズを肌で感じることができたり、自分の行動次第で顧客の購買行動が変わったりする点で、マーケティングとの結びつきも強い職種であり、マーケティング職を目指す上でのステップを踏める可能性があります。会社によってはキャリアアップを通じて営業企画や店舗マネージャーなどの裁量あるポジションに昇格し、市場分析や販促企画など、極めてマーケティングに近しいお仕事にチャレンジできる可能性もあります。今すぐに希望が叶わない場合でも、将来的な自己実現を目指した転職を考えると、視野も広がるはずです。

このように、自分の軸を明確にし、キャリアの可能性を模索していけば、転職市場の動向に捉われず、自分に合った求人に巡り合えるチャンスが広がります。

2.応募書類の内容で書類通過率が変わる

「未経験歓迎」とされる求人であっても、書類選考の結果には、当然ながら履歴書・職務経歴書の内容も影響します。あなたの書類は、あなたの魅力を100%伝えるような内容になっていますか?今一度、書類内容を見直し、あなたの経歴をしっかり見てもらえるように整えていきましょう。

2.1 経歴と応募求人に連続性はあるか

「未経験歓迎」とはいえ、企業側も限られた人員、時間で自社に最適な人材を採用しなければならず、応募者全員と面接を行うことはできない場合も多くあります。そのため、当然ながら書類選考を通じて応募者の適性を判断します。その際に、応募書類の内容と募集している求人の内容にあまりにも大きなギャップが生じる場合は、入社後の活躍イメージも持てず、書類段階で不採用となる可能性が高くなります。

たとえば、営業職の採用においてはコミュニケーションスキルが期待される傾向がありますが、応募書類の中にそのアピールがない場合は、適性の判断が難しくなります。その際、事務職や技術職といった仕事でのコミュニケーションがあまり求められない職種の方だとアピールが難しくなるかもしれませんが、社内において周囲の人々とどのようなコミュニケーションを取っていたかといった記載があれば、それが判断材料となります。

また、正確性が求められる傾向にある事務職の応募書類で文字のフォントやサイズが不揃いだったり、人当たりの良さが求められる接客業の応募書類で履歴書の写真に清潔感がなかったりしたら、それだけで入社後の活躍イメージは持てなくなります。
未経験から応募をする場合、経歴と応募求人の連続性を示すのは難しいかもしれませんが、企業が求めている人物像をイメージし、最低限、自分がそこから外れていない人物であることを示すのは大切なことです。

2.2 履歴書作成の注意点

履歴書は応募者の印象を大きく左右します。写真は髪型やスーツ、シャツを整えた上で清潔感ある印象を心がけて撮影しましょう。自撮り写真はどうしてもプライベート感が出てしまうため印象がよくありません。写真館など、スタジオでプロに撮影を依頼するのがベストですが、費用やスケジュールの問題で難しい場合は、スピード写真でもいいのでフォーマルな写真を用意し、貼付してください。また、手書きの履歴書がNGというわけではありませんが、字の良し悪しで印象は大きく変わります。近年は企業もペーパーレス化を進めており、デジタル書類の方が扱いやすく手書きの書類だと処理しづらいと判断される傾向にあります。ただし、初めて履歴書をパソコンなどデジタルで作成する場合は読みやすいフォントを使用し、形式を整えて情報を書類に落とし込みましょう。履歴書のテンプレートなどをダウンロードできるサイトも多くありますので、参考にしてもいいでしょう。

2.3 職務経歴書の書き方

職務経歴書は、履歴書よりも詳細にこれまでの経歴を伝える役割を果たします。
過去の在籍企業でどんなことをしたのか、どんな実績を上げたのか、どんなスキルを持っているのかなど、経験・能力をプレゼンテーションするのが職務経歴書です。
一方で、職務経歴書は書き方に明確なルールがあるわけではないので、書き方に悩むことも多いと思います。ここでは職務経歴書を作成する上でのポイントをお伝えします。

職務要約

これまでの社会人としての歩みを簡潔にまとめつつ、キャリアの全体像を示します。
後述の「職務経歴」の項目で詳細を記載するので、「職務要約」は3~4行程度でまとめるのが最適です。
どの会社で、どれくらいの期間、何を経験したかが分かれば問題ありません。
就職や転職などの、それぞれの転機で何をきっかけに次のキャリアに進んだのかを記載すると、キャリアの流れがよりイメージしやすくなり、人となりや価値観も伝わりやすくなります。

職務経歴

在籍企業ごとに、どれくらいの期間、どのポジションで、どんなことをやってきたのかをまとめていきます。
具体的には、下記4点に焦点を絞ります。

  • 企業概要:
    在籍していた企業の事業内容や規模、売上高などの前提情報があると、どんな業界にいたのか、どんな事業に携わっていたのかもイメージしやすくなるため、後に記載するご自身の経歴もスムーズに伝わります。
  • 会社内での役割、ミッション:
    会社から任されていたミッションや、日々の具体的な業務内容を記載します。たとえば営業であれば配属組織や商材、顧客属性(大手・中小、既存・新規など)、顧客数、単価、営業手法などを記載すると、会社内での役割や、業務を通じて培った経験・スキルもイメージしやすくなります。
  • 実績(達成率、成果など、達成難易度なども分かれば):
    売り上げや目標達成率などの定量的な成果、顧客や社内への影響など定性的な成果を軸として実績を記します。併せて成績順位や社内評価、表彰歴、社内外からの声なども記載すると、仕事の難易度や相対的な評価も分かり、その成果の凄みが伝わります。
  • 実績を出すにあたり工夫した点:
    その成果に至るまでにどのような課題があり、どのように思考し、行動した上で壁を乗り越えたのか、プロセスまで言語化して記載することが出来れば、仕事のスタンスや行動特性など、ビジネスパーソンとしての人となりが伝わります。KPIが設定されている場合は、KPI達成に対する取り組みや達成率まで記載することで、よりプロセスが可視化されます。

大事にしたいのは、実績や成果だけではなく、それを裏付ける取り組みやスタンスも含めて記載すること。
優秀な実績は明確なアピールポイントになりますが、なぜその成果を出すことができたのか、それを示すことができれば、次の会社でも同じように活躍できるという可能性を示すことが出来ます。

活かせる経験・知識・技術

ビジネスにおいて自身が活かせる経験・スキルを棚卸し、箇条書きでもいいので記載します。
業界・職種ごとの専門性を有する「テクニカルスキル」、業界や職種に限らず幅広く活かすことができる「ポータブルスキル」という2つの軸で考えると、より整理しやすくなります。

  • テクニカルスキル:資格、業界知識、専門ツール・ソフトウェアの使用経験、市場理解 など
  • ポータブルスキル:PCスキル、語学力、マネジメント力、論理的思考力、企画力 など

自己PR(強み、特性)

ここまで整理した職務経歴やスキルを踏まえ、転職後、いかに戦力として活躍できるか、応募企業に貢献できるかをアピールします。
活かせる強み、特性を見出しに置き、それをアピールできるような具体的なエピソードを示せば、より説得力が高まります。
また、募集ポジションにおいてて求めている人物像を把握しており、自身に合致する部分があるのであれば、それを重点的にアピールすると、より入社後の活躍イメージを伝えることが出来ます。

3. 転職エージェントの利用で書類通過率が変わる

転職エージェントを活用することで、転職活動の効果を引き上げられる可能性があります。エージェントは転職における希望の整理や求人の選定、書類の添削など、転職活動の総合的なサポートを提供してくれます。ここでは、エージェントを活用する具体的なメリットについて解説します。

3.1 転職軸の明確化

前述にて、求人を選ぶにあたり転職の「軸」を明確にすることが重要であるとお伝えしました。しかし、自分ひとりでその軸を定めるのは難しい場合もあります。転職エージェントは、これまでのキャリアやスキルをヒアリングし、あなたがどのような職種や働き方を目指すべきか、第三者の視点からアドバイスをくれます。自分自身を客観的に見つめ直す意味でもエージェントのサポートは大変有効です。

3.2 職種や企業規模に捉われない求人選定

エージェントは、自分で求人を探すだけでは気づけないような求人も提供してくれます。求人企業のカルチャーや活躍人物像など言語化しづらい部分も把握しているため、企業規模や知名度に捉われず、自分の軸に沿った求人を紹介してくれます。特に職種や業種といった軸ではなく、やりがいや理想のキャリア像など抽象的な要素を軸に転職活動を行う場合は、エージェントとイメージを共有することで、自分にとって理想的な求人との出会いを叶えてくれる可能性があります。

3.3 書類添削

転職エージェントは、履歴書や職務経歴書の添削も行います。プロの視点から、採用担当者にアピールできるポイントを強調したり、修正すべき箇所を的確に指摘してくれるため、より完成度の高い書類を作成することが可能です。特に、未経験からの転職では、自分では気づかない強みやアピールポイントをエージェントが見つけ出し、それを的確に書類に反映させることができます。書類の質が向上すれば、選考を突破する可能性が大きく高まります。

3.4 推薦による魅力のアピール

転職エージェントを利用する大きなメリットの一つが、エージェントによる企業への「推薦」です。履歴書・職務経歴書では、あくまで自己PRしかできませんが、エージェントを介することで、客観的な視点も交えながらあなたの経歴やスキルを企業に伝えることが出来るので、企業もあなたの魅力をより深く理解しやすくなります。特に未経験の分野への挑戦の場合、自分の経歴に自信が持てなくても、エージェントが推薦を通じてしっかりとフォローしてくれます。

4. まとめ

未経験歓迎の求人であっても選考のハードルが低いというわけではなく、応募を行う際には戦略的な求人選びと書類作成が必要になります。しかし、適切なアプローチで転職活動を進めていけば、そのハードルはきっと乗り越えられます。大切なのは、自分の強みやキャリアの軸をしっかりと見つめ直し、あきらめずに可能性を探り続けることです。転職活動は新しい可能性への第一歩。自分を信じて、前向きに進んでいきましょう。