就職活動の時に、多くの人が経験する「自己分析」。

自己分析とは、自分自身のこれまでの歩みを棚卸し、自分の価値観、スキル、能力、強み、弱み、目指す姿などを理解すること。
自分が何ができる人間なのか、何がしたい人間なのかを言語化する作業です。

新卒採用では一般的な自己分析ですが、転職においても同様に自己分析は大事です。
自己分析によって、転職活動の方向性も変わってきます。
今回は、自己分析の大切さや、その方法について考えていきたいと思います。

なぜ自己分析が必要か

転職をするということは、今いる職場へのミスマッチを感じているということ。
その理由は様々だと思いますが、おそらく現職に入社した当時は「自分にはここが合う」という考えがあったはず。
それなのに、今現在ミスマッチを感じているのは、当時の自己分析にズレがあったのか、その時から自分の価値観が変化したのか、何かしらの要因があるはずです。
その要因を探り、次に繋げていくためにも自己分析は転職活動における大事な作業です。

自己分析を行うことは、転職活動に以下のような影響をもたらします。

自分のやりたい仕事を見つけるための道しるべになる

自分の大切にしている価値観や強みを見つけることができれば、そこから興味のある仕事が見えてくることもあります。
自己分析の結果により「この仕事は自分に合うかどうか」という判断基準もできるため、漠然と仕事を探すより、仕事探しの精度が高まります。

志望動機や自己PRを語る上での材料になる

キャリアの積み上げがなく、スキルや実績で勝負がしづらい第二新卒層は特に、選考において、自分をPRできる材料が限られてきます。
そのため、職務経験だけではなく、これまでの人生で培ってきたものを総動員しながら、自身のポテンシャル、入社後の活躍の可能性を示していく必要があります。

また、価値観が明確になっていれば、志望動機を考える際の材料にもなります。
スキルや実績の有無に関わらず、自身の価値観と会社の価値観の共感の接点を見出すことができれば、その企業に入社する必然性も芽生え、志望動機にも深みが出てきます。

内省することは自己成長に繋がる

転職活動に限らず、自己を客観視し、課題を発見し、改善を行うことが習慣化できている人はビジネスシーンでの成長速度も速く、企業に重宝されます。
その意味でも、これまでどういう人生を歩み、どう成長してきたのかを企業に示すことができれば、自己成長ができる人材として高く評価される可能性があります。

転職活動はキャリアの改善行動。
自分の課題を理解し改善に繋げる努力をすることで、結果的に転職をする、しないに関わらず、あなたを大きく成長させてくれる機会になると思います。

自己分析の方法

自己分析にも様々なやり方がありますが、ここでは「自分史」を通じた自己分析をご紹介します。
自分史は、過去の出来事を振り返り、そこから浮かび上がってくる自分の価値観や特性を捉える自己分析法です。
まずは事実を振り返り、その事象一つ一つに焦点を当て、そのとき自分が何を想い、どんな行動をしたのかを見ていきます。
そして、その想い、行動の根底にあるものを探りながら、自分の価値観、行動特性、強み、弱みを見出します。

具体的には、下記のような手順で振り返ってみるといいでしょう。

①事実を振り返る

現職のことはもちろん、大学、高校、中学、小学校…と遡り、それぞれでの印象的なエピソードや当時の人間関係などを思い出してみましょう。
また、職場、学校以外にも、習い事や趣味などの課外活動に力を入れていたのであれば、その記憶も振り返ってみましょう。
まずは鮮明に思い出せなくても、事実のみ羅列する形でも構いません。

②その時の自分の行動、感情を振り返り、なぜ自分がそうしたのか、そう思ったのかを分析する

一つひとつの出来事に対して、自分がなぜそれをしたのか、そのときどう思っていたのかを思い出しましょう。

たとえば、就職や進学をする際の志望動機や、他の選択肢とどう比較して決めたのかなどを思い返すとわかりやすいと思います。
そこからさらに掘り下げて、なぜその志望動機を持つに至ったのか、なぜその比較基準で判断をしたのかなど、自分に対して「なぜ?」を繰り返しながら、選択・判断の理由を明確にしましょう。

その他、印象的なエピソードや、人間関係を振り返る際にも、自分に「なぜ?」を問いながら、当時の自分の行動や立ち振る舞い、その裏にある感情の正体を解き明かしていきます。

③自分の価値観や行動特性を言語化し、次のキャリアに繋げる

②を通じて自分の判断や行動、感情の正体を解き明かしていくと、自分はどんなことを大事にしているか、どんな時に力を発揮するかといった、価値観、志向、適性が見えてくると思います。
人によっては、その価値観を持つに至った原体験を思い出すことができるかもしれません。
過去を振り返り「自分はこういう人間です」と言えるまで価値観や行動特性を明確にできれば、その特性を活かしてどんな仕事ができるか、どんな仕事がしたいかも考えやすくなると思います。

たとえば…
・自分が考えたアイディアや企画で人を喜ばせることが好き。思いついたアイディアを形にすることにワクワクを感じる。
→企画提案型営業、クリエイティブ職、企画職など
・お節介焼きで困っている人がいるとつい頑張ってしまう。人に「ありがとう」と言われることが嬉しい。
→カウンター営業、営業事務、カスタマーサポート、秘書など

といったように、自身の特性がどのような仕事で活きるかを考えると、転職において進むべき道も明確になっていくのではないでしょうか?

「自分を客観的に見つめる」ということ

「自分のことは誰よりも自分が一番わかっている。」
そう思っていても、自分を客観的に見つめることは意外と難しいことです。
過大評価したり、過小評価したり、過去を振り返るにしても、つい目を逸らしたくなるような過去もあるかもしれません。
しかし、間違えた自己認識のもとでキャリアを築いても、それを保ち続けるのは辛いこと。
無理なく、楽しく働き続けるためには、等身大の自分を見つめ直す必要があります。

等身大の自分を把握するには、周囲の力も必要です。
周りの人からの評価、身近な人にとっての「自分」の存在価値など、もしかしたらあなたが抱く自己認識とはギャップがあるかもしれません。
「自己分析」というとひたすら自分と向き合う作業に感じるかもしれませんが、殻に閉じこもってしまっては見えるものも見えなくなってしまいます。
自分にとって「鏡」となるような存在も意識しながら、ありのままの「自分らしさ」を見つけましょう。

株式会社トーコンでは、キャリアに関するご相談を承っております。
自己分析のご相談も歓迎です。
あなたの「鏡」となり、人物を掘り下げながら、「あなたらしさ」を言葉にするサポートをいたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。