【人事担当者に聞く"面接対策"－前編】マナーに囚われ過ぎず、お互いが尊重し合い、集中できる面接を。

企業選考の本番とも言える"採用面接"。
その内容次第で自分の将来が決まると思うと、緊張しないという方のほうが少ないはずです。

ネットを調べれば面接対策の情報も溢れていますが、マナー1つとっても色々な意見があり、余計に迷ってしまう方も多いのではないでしょうか？

そこで今回は、弊社・株式会社トーコンで採用担当を長く務める前原加奈さんに、面接で心がけるべきマナーや、事前しておくべきこと、面接の心得などをインタビュー。
長年、様々な会社で採用に関わってきた前原さんの、面接に対する独自の見解や、想いを語っていただきました。
内容が盛り沢山なため、今回は前/後編に分けてインタビューをお届けします。

前半は面接において気を付けるべきマナーについてお伝えいたします。

• 斉藤 祐太 Yuta Saito

  2015年入社

  2015年、株式会社トーコン入社。
  求人広告の営業を経験したのちに、斡旋Gに移動。
  求職者の窓口として、「とこキャリ」の編集を担当。
• 前原 加奈 Kana Maehara

  職種： 広報/採用・成長支援グループ マネージャー 兼 とこキャリ 編集担当

  2013年より株式会社トーコンにて採用代行事業や自社の採用・成長支援に携わる。
  

マナーや敬語を意識する前に…

• 世の中に「面接対策」についての情報はいっぱいあると思うのですが、
  マナーや敬語1つとっても、色々言われていることがあって正解が分からないですよね。

• そうですね。
  SNSを見ていると、定期的にマナー関連の記事がバズったりしますよね。

  実際のところ「これが正解だ」という声もあれば、「そんなに気にする必要はない」という意見など、色々な意見があります。

  私個人は、マナーに関して正解はないと思っています。

  企業の風土によって面接の雰囲気も変わってきますし、こうすれば間違いないなどと言う決まりはないのではと。

• たしかに、企業によってマナーの認識も変わってきそうですね。

• そう。業界、業態や社風などによっても、企業側の「当たり前」は様々だと思います。

  そのように正解がない中で、「そもそもマナーって何だろう」と考えると、お互いが初対面同士という面接の場で、自分を知ってもらう/相手を知ろうとする努力があるかとか、お互いが不快にならないような気遣いや、時間をいただいたことへの感謝があるかなど、そういう姿勢の方が、私はとても重要だと思っています。

  これは求職者に求めるだけではなく、面接官も意識をすべきところでもあります。
  マナーや敬語に意識を取られ過ぎてしまって、自分を伝えられないのはもったいないですね。

• 「間違ってはいけない」という思いでガチガチに緊張するんじゃなくて、その場をいかに建設的なものにするかとか、いかに充実させるかというマインドが大事ですね。

• 「相手に対するリスペクト」「感謝」「有意義な時間にしようというポジティブさ」。
  この3つが私は大事なんじゃないかなと思っています。
  そして、これはどこの会社でも大切なことだと。

最低限、意識すべき「身だしなみ」「所作」

• 今回のとこキャリでは、マナーを押し付けるのではなく、ポジティブに面接に臨んでいただけるような発信をしたいと思っています。

  とはいえ、最低限気にするべきマナーというのもあると思うんです。
  前原さんから見て、最低限押さえておくべきマナーって何だと思いますか？

• あえて言うとすれば・・・、違和感をなくすこと。

  たとえば「なんでこの髪型にしちゃったのか？」とか、「スーツが着崩れているの、気付かないのかな」とか、面接官が身だしなみの方に意識が行ってしまうともったいないと思うんですよね。

  オンライン面接で背景に何か映り込んでいたりとかもそうですね。
  散らかった部屋が見える、干している洗濯物が見える、とか。

  もちろん、事情によりどうしようもないケースもあるでしょう。
  その場合は、面接の始めに説明をする。

  開始前にちゃんとチェックをして、お互いが集中できる環境を作ったほうが。面接をより効果的に実施できます。

  もちろんそれは面接官側にも言えることですが。

• たしかに、違和感があるとずっとそれが引っかかってしまいますよね。

• 逆の立場を考えたとき、結局は面接官にしてほしくないことを自分もやらない、ということだと思います。

  自分が話している最中に面接官が首を傾げると不安になったり、面接官の後ろに何かたくさんのことが書いてあるホワイトボードが映っていると気になってしまって集中できない。
  同じことではないでしょうか。

• 「あれをすべき」「これはすべきではない」というより、
  相手への思いやりがあるかどうかという前提が大事ですね。

無自覚に発してしまう「口癖」

• あと、「口癖」ですね。

  面接のためというよりも、自分のコミュニケーションを見直すうえでやってみるといいことだと思います。

  たとえば「なるほど」というあいづちを多用する方、よくいらっしゃいます。
  これは、相手の意見に同意や納得をつたえる言葉ですが、同時に「評価」をしているというニュアンスが伝わるため、目上の人には用いないとされているようです。

  1度、２度でなく、あらゆるあいづちが「なるほど」な方って、たまにいらっしゃいます。
  そうすると、どうしてもそれが気になってしまう。
  その人自身というより「なぜこんなに“なるほど”ばかり言うのかな」という疑問のほうが印象に残ってしまう。

  「なるほど」という言い方を嫌う方は、実際に多くいらっしゃいます。

• 口癖って無意識なだけに、気付くことが難しいですよね。

• 誰かが使ってる言い回しを敬語・ビジネス用語だと思って便利に使ってしまうケースをよく見かけます。

  先程の「なるほど」もそうだし、あとは「おっしゃる通りです」でしょうか。

• 「おっしゃる通りです」は、言葉として間違いではないかなと思いますが、使い方が自然じゃなかったり、違和感があったりするのですか？

• 会話の中ですべてに「おっしゃる通り」って返してしまうようなケースがあって。
  これも、1度、2度ならいいけど、すべてのあいづちに使われると私は気になってしまいます。

• なるほど…
  (あ、「なるほど」て言っちゃった…。)

• こういう、仲間同士の会話ならいいんですよ(笑)

  面接という、自分のコミュニケーションの在り方を見られたり、対話を通じて自分のことを伝えたりする場面だと、ちょっとした言い回し一つも全部が自己表現となりえるなと思います。

  そういうときに、本当に自分がアピールしたいことよりも、口癖のほうが相手に印象付けられるって、勿体ない。

• 確かに、言葉一つで印象ガ変わってしまうなら気を付けるべきですね。

  でも、身だしなみ・所作もそうですが、言葉遣い、口癖も無自覚で出てしまう部分だと思います。
  自分を客観視できないとなかなか気付けないですよね。
  普段から意識していないと気付けないし、こと転職活動においては、面接対策などを行って、誰かに見てもらう機会を作ることが必要かもしれないですね。

• 今、セルフ・アウェアネス(自己認識)というものが、とても注目されています。
  「自分で自分のことを認識する」というスキルです。

  たとえば、コロナ前だったら、自分の言動に対する周囲の人のリアクションとか反応を直接見て、「意図した通りちゃんと伝わったな」とか、「あれ？今、自分はおかしなこと言ったかな」とか、反応に気付きやすかったと思うんです。

  今はそういう機会が減っている。

  「自己認識」と「他人から見えてる自分」がずれてしまいやすいのではないかと思っています。

  時に手を止めて、自分が相手にどう見えているかを考えてみる。
  信頼できる周囲の人に普段の自分のことや、模擬面接のようにしてフィードバックをもらう。
  スマートフォンで自分の話している様子を撮って見返してみる。
  色々方法はあると思います。

  取り組んで損はないと思いますよ。